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自分、こんなアニメが好きです…その1

自分はアニメ…エロも含めて…観ますが、果たして見るアニメも年代を重ねるにつれて新しいものは、余り見なくなっていますが、昨今、歳を食って偏向的になってるのかなぁと思ってみたりします。さて自分の中でDVDで持っているのは、幾つかあります。その代表例を挙げてみましょう。

攻殻機動隊シリーズ。サイボーグアニメの金字塔。劇場版2作品及び、TVシリーズ2シーズン、後はオリジナル作品を持ち合わせています。自分の中ではやっぱり劇場版第1作が記憶に残っています。他のは…記憶力が低下しているので、あまり印象に残っていないと言うか…全体的には面白いのですが、ストーリーが複雑。画力は秀逸だと思いますが、話が複雑な割りには、テクニカルな描写が乏しい。原作はその手の描写満載でしたが、そのせいで難解なものになった気配があったので、些か敷居が高かったのですが、スタッフはそれを懸念したのかもしれません。それにロボット然としたヒューマノイドの登場が一切無いというのは、ちょっとねぇと思う。意図的なものかもしれませんが。

プラネテス。これも攻機のように漫画が原作ですが、原作をベースに完全に作り変えたものになっていますが、その割合はこちらの方が高いでしょう。某公共放送(MHK)のBS枠で放送されていただけあって、画力は民放のものとは段違いに秀逸です。話が宇宙時代の下層サラリーマンということで、宇宙船の描写などメカニック的には見るところが色々ありましたが、この時代にこの主人公とヒロインの職業である宇宙ゴミ回収業と言うのは、これこそ生身ではなくロボット化が推進されてしかるべきではないのかなと思ったり。ストーリーは中盤からは、主人公が木星往還宇宙船クルーを目指す過程で、内面的なものになって自分的にはたるーく感じられたのですが、最後は旨い形にハッピーエンドで終わらせてくれました。

イノセント・ビーナス。これはう○こなアニメ。個人的にはFCSのような先進歩兵が活躍するアニメが無いかなと思って居たところに登場してくれたのが本作品。ですが…絵がベタベタ。自分はクオリティ重視なので、DVD一巻を買って視聴した時点でペケ。せっかくロボットスーツの描写とかもあったんだけど…話も何か観るに耐えなかった。自分はハードボイルド的な要素を重視するタイプなので、そう云う点ではストライクゾーンが狭量ですね。
  1. 2007/01/07(日) 01:01:01|
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2007年の初日です。(バルゴ06その1)

謹賀新年、あけましておめでとうございます。本年も何卒、ご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げますm(。_。)mということで、新年の初日と言うことで、何か書こうと思ったのですが、ネタが思いつかない…ので、自分が過去に没にした妄想の駄文をアップしてみたいと思います。これは"バルゴ06"というP-21A哨戒機の中の取り留めの無い話です。


※ ※

 

P-21Aは、初期型のP-21の改良型で、運用コスト削減のために、ミッション機器の刷新による自動化の推進と、4発あったエンジンの双発化が施されている。そしてリセプタクルと呼ばれる空中給油装置の受油口がコックピット上部に新設されている。これは哨戒時間を延長するためのもので、燃料消費の激しいジェット哨戒機には必須のツールだが、諸外国の哨戒機では、ドローグ・プローブ式を広く用いているのに対して、P-21Aでは航空自衛軍のKC-767Jの支援を想定していたため、空自が使用するフライングブーム型のものに合わせている。調達数が少ないために、ミッション当たりの任務時間を長くしようという苦肉の策である。それに加えて省力化も進められた。ミッション機器の高度自動化は、従来は5名必要だったオペレータークルーを3名に減らし、そのお陰で乗員数はP-21の11名から、9名に減っている。ただしソノブイ投下などの肉体労働が必要な分野は、まだ自動化が遅れていた。また主翼にぶら下がっていたエンジンが2つ減ったことは、整備コストの削減とともに、その余白に武器の搭載スペースが新しく出来たことを意味する。P-21では旧来のP-3Cオライオン対潜哨戒機に倣って尾部から伸びていたMAD(磁気探知装置)ブームは、P-21Aでは幾分短縮され、その根元にミサイル警戒用の光学センサーが仕込まれた。P-21Aのキャビンは、トイレ以外、原則的にコックピットから最後部のギャレーまで、間仕切りの無い区画なのだが、このバルゴ06では、コックピット、前部オペレーションデッキ、後部キャビンの間に、それぞれはめ込み式の隔壁を設けている。これは特に防音・防湿効果に優れていると同時に、高温環境下にあるイラク派遣で、個々のデッキ・ステーションに隔壁を設けることで保温効果を高めているためだ。昨今の電子機器を多用する兵器システムには、クーラーを作動させて室温を一定させる必要があるのだ。

 

※ ※

 

女性クルーのみで構成された戦う乙女の武装集団が、海の上のDD-164よいづき以外に空にもあった…そのもう一つの処女宮の中…

 

※ ※

 

「…あぁ、また出産祝いかぁ…今月も交際費の出費が嵩むなぁ…」

 鼻の下と上唇の間にペンを銜えながら、一人ぼやいていた(作戦担当用戦術航法士官席の)コンソールに向かっていた内藤桃子1等海尉。そこにコックピットから(機長の)飯田思信1等海尉がキャビンの方にやって来た…機体のコントロールは、燕城寺麻弥と自動操縦に任せて、機内の散策としゃれ込んだわけではないのだけれど、用足しも兼ねた顔出しである…。 

「…どしたの?…」

「…うんん…ちょっとね…ただの指先の運動…折り紙よ…」

 飯田思信の問い掛けに言葉を濁らせた内藤桃子だった…わざわざモニターの電源を落として、筆算計算していたメモ用紙を反射的に織り込んでいた桃子だった。その右の手先は、その場を取り繕うように折鶴を折り始めていた…それが思信の眼には、明らかに奇異な行動に映るのだ…これが突っ込まずにいられようか?…。

 「…だからちょっとどうしたの?…わざわざ折鶴をおっての指先のリハビリってわけじゃないでしょ?…」

 同じ仕草を両方の指先で模倣してみせる思信。その器用さは、彼女の脳内のミラーニューロンと、指先の運動を司る領域の連接の良さを匂わせるものだった。そしてその発達した器用な指先に、桃子は寝床で何度煮え湯を飲まされたことか…いや、それは私的で感覚的なことだ…。

 「…もぉ…交際費の計算よ…」

 思信に詰め寄られた内藤桃子は、しぶしぶ自分がしていたことを言ったが、まだ核心には触れていない。それを口にすれば、また思信からワンパターンの台詞を聞くことを予想できたからだった…。
 「…交際費って何の?…あたし以外の女性との浮気を考えてるのかしら?…」

「…そんなことするわけないでしょ!!…」

 そんな思信の挑発に思わず言葉を真に受けて声を荒げてしまう桃子。その後に”…何時も浮気をするのは、あなたの方じゃない!!…”という台詞を呑み込んだ桃子だったが…それはこの場で触れる類のものではないのは十分に承知している…他のクルーに聞かれてしまうのは、彼女が最も躊躇するところだった。例え自分を含めたクルー全員が、お互いの肌の肌理の細かさまで知り合っている間柄だとしてもである…桃子と思信の2人だけの間の問題に局限されることだからだ…飯田思信はことあるごとに、自分のことを一番に想っていると公言して憚らないし、それを他のクルーも承知しているのだが、ふと不安に…満たされていない自分の心に気づく桃子…そんな貪欲な自分を痛感するのが嫌なだけなのだ。そう、結局は、桃子自身が意固地であること、自分の世界観の狭さを痛感するのだ…未だに思信と同じ視点の広さに立てない桃子は、自分にちょくちょく幻滅するというわけだ…果たして思信の生涯の伴侶に相応しいのか?…よく疑問に思うである。しかし当の思信は、そんなことを気にしている風もないし、逆にそう苦悶する自分のことを、ただ見守っているだけなのだ。その不足部分を他の女と交わることで補っているのかもしれない。完璧主義者ではないし、そうはなれないと桃子自身が自分に言い聞かせても、自意識の裏側では、かくあろうとしなければ、そのモチベーションを保ち続けなければ、思うような結果が伴わないことを自覚しているため、潜在的に無意識から自意識へ完璧を保つようにとのプレッシャーを掛けているのだ…それはプライドという形のもので形容される…。

 「…おほん!、とにかく私の個人的な交際費の計算は、あなたの範疇外でしょ?…」

 一呼吸おいて、桃子は自分の心の規律を正すと、これ以上の相手との会話を終了する意図を台詞に滲ませたのだが…。

 「…なぁに?…やけに邪険にするじゃない?…」

「…あ…」

 そのしなやかな思信の指先が、静かに首筋に触れた…うなじを擽るのだが、思わず艶のある息を漏らしてしまう桃子だった。

 「…そんなにベッドの中と、一緒になるとは想わないでよ…」

 桃子は思信に耳元にささやくように抗議の目線を送る…それを受け取った思信は、切り替えした…。

 「…あたしにはそんな気は毛頭は無いわよ…私生活も、空での仕事もすべて私が主役の人生のストーリーだもの…すべてが一緒なのよ…そしてあなたがその第一のパートナーなのよ?…何時も云ってるでしょう?…」

「……」

 その思信の決め台詞に思わずぽっと顔を赤らめてしまう桃子だった…何度も耳にしているのだが…その度に頬の紅潮が増す気がしていた…。

 「…そんなあたしとの間に隠し事は無しのはずでしょう?…内藤桃子1等海尉…」

「…それは…」

 そのまま思信は、桃子の座る座席の背後ににじり寄ると、上半身をそのまま覆い被せた。後ろから桃子に抱き着いたのだった…。

 「…で、そのあなたの私的交際費の使い道は何なのかしら?…白状しなさい…」

 その思信の繊細な指先が桃子の胸元に降りてくる…。

 「…その…出産…祝い…です…」

「…それで誰にあげるのかしら?…」

「…くにくに…」

「…んぁぁ…藤森…せんせぇ…のとこと…天外艦長と…名取さん…のところ…んmんn…」

 熱い吐息を耳元に受け、両方の胸にはニップルに的確な刺激を受けている桃子。思信の仕草は、相手を確実に追い詰めていた。

 「…それでどれくらいなの?…」

「…ええ?…」

 そして桃子への愛撫をぱたりと止めた思信。思わず、ご褒美を目の前で取り上げられた当惑の目線を送る桃子だった…。

 「…何だかんだで、両方合わせて50万円くらいになるんじゃないかな?…」

 予算の見通しを言った桃子。それに対する思信の姿勢は、途端にシビアなものになる。そりゃ自分たちのお金が絡めば、それも一方的な出費なのだとしたら、少しは顔つきが変わるのも当然だった。そもそも隊内のこの手の親睦用交際費としてプールしている\…俗に言う裏金…のうち、桃子たちバルゴ06のクルーは、その積み立てにあまり頓着してこなかった。だから出もしない隊内の数々の出席行事やら…身内のクルーだけで、ほとんど毎晩、親睦を深めているせいだが…、上級幹部の異動への餞別やら、彼女たちだけで独自にプールしているわけではないから、独自に残高は無い。そもそも隊内では、彼女たちは未だに異端視されている存在なので、他の連中のように請求書を水増しして刷るとかの古典的な手法ではなく、桃子を窓口にして杓子定規に、サラリーから自腹で払い込んだ金は、隊内では裏の公金として処理されることになるが、その真っ先に矢面に立つのが、バルゴ06クルーのお金がほとんどである…。

 「…え、そんなに掛かるの?…」

「…ええ。みんな集めれば、当然、それくらいになるわ…香典貧乏になるよりはマシだけど…」

 言って初めてその金額に仰天した思信に、経理責任者である桃子は、何をかいわんやの表情で平然と言ってみせた…。

 「…まぁ何時か取り戻せってことでしょう…ところでさ、確か妊娠してるのって、春菜せんせぇの奥さんでしょ?…姫咲織絵ちゃんって初産?…」

「…いいえ、織絵さんはもう3回目よ?…」

「…え?…でももう子供は3人いるでしょ…」

「…織絵さんは2回出産しているし、藤森先生は1回出産しているもの…」

「…そうだったかしら?…」

「…そうよ…」

 自分の記憶データを桃子にあっさりと否定された思信。海上自衛軍に医務官として所属する藤森春菜は、パートナーである姫咲織絵との性生活において、己の征服欲を満たすために、男性器を模った人造ペニスを股間に移植し、見かけだけは”…ふたなり…”になった。この人造ペニスには、血液が通い、排泄の機能も、性的な興奮による発露も可能だが、あくまで女性のクロスポイントである陰核を増強する形で、移植されている。精嚢なども無いし、射精などの機能も無い。以前の通り卵子細胞や子宮系は残っているので、藤森自体も妊娠・出産ができた…。

 「…それでよいづきの艦長さんと、副長さんのカップルは?…」

「…名取副長が初産よ…」

 桃子に言われて思信は、頭を指先で擽った…記憶が混乱しているようだ…。

 「…こうも知り合いのベビーラッシュが続くと、こんがらがって来ちゃう…」

「…ほんとね…」

 思信は桃子に正直な本音を見せると、桃子も素直に同意してみせる。2人の知り合いは、決まって女同士の婦々生活を営んでいる。彼女たちに自然の成り行きでの生殖など不可能だった。後は人工的な受胎カプセルによる生殖ということになるわけだが、それが何だか一つのムーブメントになっている気がして、処女懐胎・女児出産という、”…百合…“の花に形容される同性愛方程式の小さなベビーラッシュに繋がっていた…それも以前は不可能だった女性同性愛者同士の単為生殖が、近年になって実行可能になったことが大きく作用しているのは間違いないのだろう…。

 「…ねぇ、桃子ォ…他所様のことより…」

「…ギクリ!…」

 思信の声音のトーンが明らかに甘えモードに変化する。背後から抱き付かれた桃子に、そんな彼女の流し眼の模様は映らないが、その様はありありと想像出来た。

 「…いい加減、あたしたちもみんなからの出産祝いでぼろ儲けしたいよね…」

「……」

「…赤ちゃん作ろうよ?…」

「…@+×△÷!%…」

 強請るような思信の言葉…この台詞に思わず桃子の心理は、ぞわぞわしてしまう。この次を展開させる言葉が頭の中で用意できていない…。

 「…あたしが桃子の赤ちゃん産んでもあげても良いんだよ?…」

 思信は自分の妥協案を桃子に言うが、一方この話を常日頃聞かされている桃子の耳には、何時にも増して嫌らしく響いていた…そうではないのだ。

 「…子供を産んであげたいの…みんなの赤ちゃん…」

「……」

 思信が懇願するように呟くのを聞くにつけ、桃子は決まってやるせない思いに囚われる…率先して産んであげたい。いや、みんなの赤ちゃんを産んでやりたいという思いは、居ア血ほど良く判る…だが…。

 “…思信はみんなのお姫様じゃなきゃいけない…処女の象徴であるみんなのお姫様は、誰かの子供だけを産んじゃ駄目なのよ…みんなの子供を産むなんて無理なのだから…だから独りシンボリックなヒロインである必要がある…そしてその孤独なシンデレラをわたしが影で支えてあげたいの…”

 その桃子の強烈な思いは、彼女に対して口にしたことは無い。その頑なな桃子の決意は、思信の女としての母性を決定的に否定するものだからだ。その代わりに思信の子供は、桃子自身が産むのだ。その硬い決意は変わらない…しかし自分が思信の子供を産むのに、相応しい心持になっているかといえば、それは否だった。自分が彼女に相応しいと思えなければ、気持ち良く妊婦になって、マタニティライフを送ることなど出来ない…しかしこれはあくまで桃子自身の内心の問題で、思信には関係の無い話なのだが、彼女の望むことを拒み続ける理由にもなっている…そもそも影から思信を支えるなんて桃子の独善なのかもしれない。その独善に酔いたいナルシストなのかも?…なんて下卑たやっかみも自分の中に渦巻いている桃子だった。

 “…あなたが好き…”

 桃子は思信に想いを寄せていることに気づいて、ようやく思信からのアプローチを受け入れて、2人は肉体を重ね合わせた。そうすることで、桃子は自分の胸の中に覆い被さる殻の打破を期待していた…しかし一皮剥けるどころか、時間が経過するとともに、桃子はその淡い期待とは裏腹に、その殻が肥大し重くなっている気がしていた…思信が何時も自分に投げかけてくれる台詞が、その神経症な桃子の心を暗澹にさせていたのかもしれない…。

 ”…ちょっとした瞬間の可愛い桃子…そんなはにかむ表情のあなたが大好き…”

 それは思信の桃子への素直な感想だった…

 “…あたしってそんなに可愛いかな?…”

 桃子はふとそう思う…

 “…何時もその顔が見れたらいいのにな…”

 それは思信の桃子へのささやかな願望だった…

 “…そうするには、一体どうしたらいいの?…”

 桃子は当然そう思う…

 “…肩肘張らずに、リラックスしてみて…ありのままの桃子でいて欲しいの…” 

それは思信の桃子への小さなアドバイスだった…。 

“…貴方の言葉をストレスに感じること自体…私は貴方に相応しくないのかもしれない…”

 桃子はそう不安に思う…それらの思信の言葉が、桃子の中に蓄積されて行き、彼女の巷に溢れる”妊娠”という事象で、桃子自身が子宮を持つという女性性の大きさがより拡大解釈されて、”…早く思信との娘を妊娠したい…”という桃子の気持ちを”…早く妊娠しなければ…”という強迫観念に変貌させ、思信への一途な貞操を護ることに固執することで、一皮剥けない自分を正当化する決め台詞にするとともに、自分以外の他者とも交わる思信への嫉妬を折り重ねる中で、押し潰されそうなほどになっていたのかもしれない…その点で桃子は頑なだった…そんな自分を思信は、ただ見守ってくれている。飽きて一方的に捨てられても不思議ではないと思うのに…どうしてそうしてくれないのだろう?…いっそのことそうしてもらえれば、簡単に諦めが尽くだろうし、所詮は思信も…という結論に到達して、桃子も安心できるのだ。要するに桃子は自分と思信とをどうしても器量の上で比較してしまうのだ。

 「…ピピッツ!!、ピピッツ!!…」

 そんな時、キャビンに電子音が鳴り響く。桃子と思信の2人の会話を遮るには、ちょうど良いノイズだった。その発生源はNav-comステーション(航法通信士)のコンソールからのものだった。しかし担当であるはずの吉岡柴2等海曹の姿は無かった…用便を足すために奥のレストルーム・エリアにでも引っ込んだのだろうか?…そう云えば、センサーオペレーターである諏訪部麒麟2等海尉の姿も見えない…吉岡柴はこの諏訪部麒麟の”お手付き”でもある…2人して連れ立ったのだろうか?…というか、桃子の座る戦術担当士官のコンソール以外に、キャビン内に4つある通信航法、電子センサー、音響センサー、武器の各担当者が何れもその場に居ないのだ…。

 「…バルゴ06聞こえるか?…速やかに応答せよ…」

 それは司令部からの通常回線での呼び出しだった…先ほどまで吉岡柴が交信に用いていた秘匿回線とは違う普通の無線だった…。

 「…こちらバルゴ06です…HQコマンド(Head Quauter Comand)どうぞ…」

 仕方なく応答に対応するのは、この場の責任者である飯田思信だった。というより、近くに自由に立って歩けるポジションに一番に適合していたのが彼女だっただけだ。

 「…これより貴機には、これまでの定時哨戒ミッションは破棄し、新しいミッションに就いて頂きたい。新しいミッション・プランニングは、こちらより暗号化通信でそちらに送信中である。本通信終了後、そのデータを参照されたい…以上だ…」

「…バルゴ(処女宮)06了解…」

 思信は事務的な応対で司令部との通信を終えた。当時、思信たちのバルゴ06は、ペルシア湾の哨戒監視飛行任務に就いていたのだが、彼女たちが所属する海上自衛軍第3哨戒航空隊からは、イラクには12機のP-21が派遣されていたので、それぞれの機体に黄道12宮の名前が冠されていた。その6番目のお宮さまが、内藤桃子たちが乗るこの処女宮なわけだ…まぁ要するにイラク派遣航空隊にローテーション配備されている6番機のクルーチームなのである。

 「…どれどれ…」

 早速、送られてきたデータファイルを吉岡柴のコンソールから転送させて、自分の前面にあるコンソールのスクリーン画面上に展開させていたのは桃子だった。手元にあるサブスクリーンの画面に直接手を押し当てる桃子。画面には画素ごとに微細な光センサーが鏤められている。自発光画素からの参照光の照り返しから押し付けられた物体の画像パターンを認識する。そうして自分の掌紋を読み取らせているのだ。司令部から伝送されてきたミッション・データの開封には、この場では戦術担当士官である桃子、あるいは機長である思信の生体クリアランスが必要だった。読み取りが終わって、画面をティッシュで拭う桃子。ちなみに手が直接接触することで画面に付着する汗や皮脂などの汚れは、表面を光触媒でコーティングすることでカバーしているが、付着した汚れは直ぐに分解されるものでもないので、やはりマメな拭き掃除は欠かせない。



[license check confirmed]

“…ライセンス照合確認…”

[data files decoding now]

“…データファイル解凍中…”

[please wait]

“…お待ち下さい…”

 

スクリーン上に浮かんだ文字とシンプルなステータスタイムバー。こう云うのは抜け目無いというか桃子の対応は素早い気がした…そしてその成り行きを背後から覗き込むのは思信だった…。既に桃子はシングルタイプのフルカラー式HMDのアイピースを、利き眼である右目に掲げて、コンソールスクリーンのデータと照合させている。その眼球を素早く移動させるチラ見の連続は、桃子の戦術担当士官としての仕事のスタイルだ…そして瞬間、瞬間の映像を彼女は脳内で再合成して、一つの画像に再構成しているのだ。コンピューターでレーダーやレントゲンの画像を蓄積・再合成する手法と一緒だ…シースルー式のELデバイスを使用しているのだが…幾らレズの集団といっても、彼女たちもP-21Aのクルーとしてそうするように一様に軍事訓練を課されている…その程度の所業は、他の一般隊員と同等以上のスキルを身に着けていた…。

 「…ウンムカスル?…」

 思信が画面を覗き込んでその文字に反応した。桃子の頭越しに見える彼女の一纏めにしたボリュームのあるヘア…その纏まりから零れた髪の繊維の一本一本が光のスリットになって、画面からの光に滲んだような虹が見えた…この瞬間の凛々しい彼女の姿も、思信には抱締めたくなる愛しい存在だ。でもその衝動は我慢、我慢…お仕事の最中だ…公私は弁えなければ…。

 「…上空からの偵察だってさ…」

「…へぇ…」

 周辺のエリアマップが呼び出されていた。今の現在位置が拡大され、飛行コースが指定されて、そして目的地上空であるウンムカスルがクローズアップされる。途中で航空自衛軍のKC-767Jから空中給油を受けるように指示があった。当面は隣国のクウェート上空とウンムカスル上空を、国境を跨ぐようにして周回しながら、偵察を行うことになる。

 「…任務追加ですか?…」

 そう云って桃子と思信の2人の輪に加わったのは、前方のコックピットからやってきた副操縦士の燕城寺麻弥2等海尉だった。機体の操縦は、オートパイロットに任せてある…。

 「…ええ、残業になってしまうわね…」

「…残燃料、残り33%です…基地への帰投分しかありませんけど…」

 翻って麻弥は、機長である思信に自分のコムツールの画面を指し出して見せた。画面には機体ステータスのモードが呼び出されていた…。

 「…それについては、空自さんの給油機から燃料補給を受けろとあるから…」

「…そうですかぁ…」

 指を銜えるようにして少々、残念がる麻弥。基地に帰って、宿舎での…スキンシップ…は、もう少しお預けのようだ…。

 「…あのぉ内藤1尉…」

「…なに燕城寺2尉?、藪から棒に…」

「…先ほどの思信さまとのお話ですけれど…」

 聊か気難しい表情を見せている桃子に、恐る恐る声を掛ける麻弥…今度はその次に紡がれることになる言葉に、桃子が恐怖する番だった…思信とのやり取りを聞かれていたのか?…。

 「…そんなに妊娠するのがお嫌でしたら…」

「…?…」

 一呼吸置いた麻弥の口ぶりがアグレッシブな皮肉めいたものに変化する…。

 「…じゃぁ、一番先にあたしが思信さまの赤ちゃんを産んじゃおうかな?…」

 麻弥が言った。それに桃子の顔が、一瞬、硬直する…。

 「…みんな内藤さんに遠慮してるのよ?…こんな若い身空の子宮を空き部屋にしとくなんて、宝の持ち腐れじゃない?…ひいては少子化大国の国有財産の空費に他ならないのよ?…」

「…国有財産?…ってあたしたちの子宮が?…」

 少々、憤ったような口調を麻弥に投げかける桃子。確かに自分は、国民と国家を護ると誓って軍人になり、自衛軍に雇われた公務員であり、給料は日本国政府の国家予算から支給されているし、この国有財産である航空機を使用しているが、自らの意思をして、自分を国有財産の一部とまで言えるほど、私は身を窶してはいない…桃子のプライドはそう叫んでいた。

「…明日の日本国・日本民族繁栄のために、少しでも人口減少に歯止めを掛けるべく、この子宮を使わなくてはならないのだわ!!、うん!!。あたしたちが軍人である以前に、女としてこの国民国家へ最大の貢献策は、母親になること!、ずばり繁殖行為なのよ!!…」

澄ましたように涼しい顔で云う燕城寺麻弥。ぽんと狸か相撲力士のように腹鼓を打つようにして口走った後半の台詞は、聊か胡散臭い、取って付けた感じがするが、繁殖適齢期の只中にある自分たちには、子宮を持て余す理由など何も無い。思信と自らの子供を子宮に宿し、産み落とすことは明らかに思信との一体化を図る上での大きなシンボリック・ステータスなのである。後半口にした産めや、増やせやの社会主義の極致みたいなスローガン地味た台詞は、あくまで二の次の話だ。例え子供を産んで、育児放棄したとしても、介護やセキュリティ向けに家庭に普及し始めているヒューマノイド・ロボットが親に成り代わって面倒を見てくれる…ただし新生児の教育係になれるほどに、ロボットはそこまでの知能は獲得していないが、知能の向上は日進月歩である…頼りなくても幼いころから生活環境に家電機器の一部として空間にロボットが入り込んでいる。これからこの世に生まれるであろう、彼女の子供たちは、生みの親は人間だが、育ての親はロボットを介したコンピューターである…そんな時代が到来していた最初の世代なのだった。

「…繁殖行為って言ったって…あたしたちは女  同士だから…」

「…ここのみんなは、全員レズだからこそ、計画的に子作りも出来るし、思信さまとの子供をみんなで産んで、本当の家族になれるんでしょ?…」

そう言い切った燕城寺…桃子や思信、当の燕城寺も違うけれど、他のクルーは多かれ少なかれ、その出身の家庭で私生児であるなど、冷遇された悲しい立場の出自だ。それがこの自衛軍に身を寄せたことで、そこに自分の居場所をそれぞれが見出すことができていたのである…。

「…子供を作るのは好い。産むのも好い…産んだ子供を育てるのに、育児休暇を取るのは好いけれど、それをみんな一斉にとろうなんて思ってるんじゃないでしょうね?…」

「…それは産んでみてからのお楽しみ。みんなで妊娠して、みんなで出産して、みんなで育休(育児休暇)を取れば怖くないわ!!…」

「…祖国防衛のお仕事はどうなるのよ?…」

「…あら?、未来の日本民族を存続させるために、私たちの子宮を使うことも、祖国防衛に尽くすことになるんじゃないのかしら?…それこそ男性兵士にはできないことでしょ?(←この燕城寺の台詞なんだけど、少々妊娠治療の技術を過小評価しているようだ。”子宮外妊娠”って言葉もあるように、受精卵が子宮以外に着床しないと妊娠しないという謂れは無い。男性の腹腔内に胚を移植し、妊婦と同じホルモンを投与してやれば、少なくとも妊娠状態は、理屈上は維持できる。ただし出産時に胎盤が自然に剥がれやすい子宮と違って、腹腔の様々な臓器に着床して胎盤が形成されると癒着が進行して剥がれにくくなる。これに伴う出血の危険性が親と子の生命のリスクと繋がるわけである。まぁこのリスク管理がうまく行かないから、レズビアン同士で子供が作れるこの時代でも男性の妊娠という行為自体は、中々浸透していないのだろう。)…」

「…むっ!!…」

燕城寺の強い意気に閉口してしまう桃子だった。先程の桃子と思信のささやかな濡場を経験していた姫百合が、いい加減で口を噤み、何時の間にかその筋から潤みも引いてしまっていた。思信と自分の遺伝子を引き継ぐ娘を残すことは、傍目から見れば、女同士のハーレム状態なのだが、これは男性性を排した女性優越主義の極致か、少女革命・処女セクト・百合原理主義等などの言葉尻を組み合わせた罵詈雑言が彼女たちの周辺で考え出されていた…。

「…女同士の子作りも好いけど、今は特別国家公務員としてのお仕事の方が優先でしょ?…」

「…だったら他のみんなは?…」

 ちょうど耳の痛い子ネタの話を切り上げる…はぐらかすようにネタがあることに気づいた桃子。バルコ06のミッション指揮官である立場もあってか、その物言いは些か頭ごなしに聞こえたかもしれない。何より散々にやり込められていた鬱憤もあったから、そのトーンは少なからず高圧であったはずだ…それに対する燕城寺の憮然とした表情は、思信の想いを重く複雑な思いにしていた…。

「…ほんとにみんなどうしちゃったのかしら?…」

 そんな何所吹く風に他人ごとに他のクルーを思いやる思信だったが、さてP-21A”バルゴ06”のクルーは全部で9名。機長である飯田思信1等海尉、副操縦士である燕城寺麻弥2等海尉、戦術作戦担当士官の内藤桃子1等海尉、センサーオペレーター担当士官の諏訪部麒麟2等海尉、航法通信担当の吉岡柴2等海曹、音響センサー担当士官の隼砥教子1等海尉、武器担当の佃島鳩子3等海尉、武器員の笠置秋2等海曹と、笠置紀2等海曹の双子姉妹の構成となっていた。今、思信・桃子・燕城寺の3人がいるのは、機内のオペレーションコンソールが集中する中央コンパートメントと、さらに前方にあるコックピットは、現在は自動操縦に切り替わっていたため、運用規則違反だが無人だった。後部コンパートメントは、ソノブイなどを投下するランチャーの装填部、簡易トイレとキッチンを含むギャレイがある。

「…ということは、みんな後ろにいるんだよね?…」

「…パラシュートで脱出してなければね…」

「…まーやは、コックピットに詰めてて…」

「…了解です…ミッションコース変更に備えます…」

 云うと、燕城寺はコックピットに、桃子と思信の2人は後ろに向かった。

 

(続く)
  1. 2007/01/01(月) 21:58:45|

2007年の初日です。(バルゴ06その2)

 

※ ※

 

さて溯ること約20分前…まだコンソールデッキの各ステーションには、内藤桃子以外のスタッフもきちんと詰めていた…。

「…以上でバルゴ06より定時連絡終了します…お疲れ様でした。アウト…」 

そういう言葉で司令部宛の圧縮データに締めくくりの言葉を被せたのは、通信士の吉岡柴2等海曹だった…後は手元の小さいコントロール・スクリーン上に、さらに小さく表示された[送信]の領域をクリックするだけで、データ通信は完了する。司令部とのデータ通信と言っても、要は普通の電子メールのやり取りだった。リアルタイムの無線やデータリンクも依然として重要だったけれど、妨害されて寸断されるより、必要最小限のデータだけをピックアップして圧縮し、小分けのデータパッケージとして交換する方が、暗号化圧縮・復号化・ファイル解凍などで処理に手間は掛かるものの、もっと大容量のデータリンクや通信衛星のネットインフラが、常時接続のせいで傍受や妨害の危険が常に付き纏うより秘匿性は高い…秘匿ラインとして画像や音声は圧縮してキャッチボールする手法が一般的に採用されている。通信の秘匿性は高いが、会話の合間にファイルの解凍時間が必要であるなど、細切れになりやすいリアルタイム性に難のある通信ラインだ…これが電話の会話などなら、ファイル解凍の間にどうしても会話が寸断されてしまうので、使用者の苛立ちを余計に加速させてくれるコミュニケーション・ラインと言えるかもしれない。そんな短時間のやり取りを済ませたら、吉岡柴は少しだけ全身の力を抜くために深呼吸をする…。

「…ふぅ…」

「…ゾクゾク…」

「…うっ?…」

吉岡柴はその感覚に思わずHMDのヘッドギアのつる(蔓)を思わず摘んでしまう。下腹部の奥底から背筋を抜け、脳髄を天へと開放させるぞくぞくするような感覚…それに突き上げられ、突き抜けたのである。それは物理的なバイブレーションによるものではなかった…もっと内からわく魅惑的な作用…とでも言おうか…。

「…あ、あぁ…」 
息が小刻みになり、身体もぶるぶる震える…彼女が頭に被るヘッドギアは、HMDのレンズスクリーンと、そして即頭部から頭頂部へ続く3つのラインバーに連なっていたが、たかだか片眼鏡の表示部分を支えるだけなら、頭を締め付けるようにカバーする他の2つのラインは必要ない。彼女たちは、”…サイコミュ・システム…”と呼ばれる脳深部磁気刺激装置のヘッドギアを被っていた。磁気刺激装置は、その2つの余分なラインバーに内蔵されている。それによって快楽中枢を電磁気刺激していたのだ。本来は長時間の勤務による疲労感や、眠気を緩和する覚醒マシンだ。それを刺激する部位を変えて、セックスの時の刺激を誘発させていたのである。磁気刺激を与えるべき脳の領域は側頭部から頭の天辺に掛けてだが、それも個人差や用途に応じて場所を変えなければならないため、位置を自由に調整できるように柔軟性の高いフレキシブルラインバーに磁気刺激装置を仕込んでいる。元々、このヘッドギアの名前、”サイコミュ”の由来はサイコミュニケーションの略称であり、心理(サイコ)と通信(コミュニケーション)を組み合わせた造語だったが、現状では電磁場による脳への刺激だけで、その名前が示すような双方向の心の会話は不可能という機能的には不完全な状態であり、将来的には本格的なマグネット・コーティングを施して、脳の活動をリアルタイムでスキャニングし、機体制御に用いるニュータイプ仕様とでもいうべき、ブレインスキャン対応ヘッドギアが研究されている。

「…あ!…」 
股座の花びらがほんのり綻び、じんわり蜜を吐き出したのが自分でも認識できた…吉岡柴は弾かれるように、イスから立ち上がると、そそくさと後部のレストエリアにあるトイレに向かうことにした…。
 「…どしたの?…吉岡2曹…」

 この場の管理人である内藤桃子1尉が自分のコンソールから、背後の吉岡柴を見た…。

 「…あ、あの…ちょ、ちょっとおトイレに行きたいんですけど…」

「…そう…お大事に…」
 些か慌てふためく吉岡柴に、桃子は別段とやかく喧しく言うことも無かった…そもそも日々のルーチンの中でも、特にしんどい状況ではないからだ…しかしそのクルーチーフの吐いた最後の台詞が、吉岡柴には耳に残った。自分に対して何を気遣ってくれたものなのか?…果たして自分の昂進した熱っぽさを見抜かれているのではないか?…そう思えてならなかった。でもそれは取り敢えずおいといて、早く性欲処理を済ませたいのだ…この火照りをどうにかしたい…そのためにレストエリアとオペレーションルームとの仕切り扉を開いて後部に向かった。
 「…柴?…」
 吉岡柴の2つ隣のセンサーステーションに座っていた諏訪部麒麟2尉。ふとそそっかしい相手の方を見やると、自分もそのまま席を離れた…心持ち、何時も自分に”…先輩、先輩…”といって懐いている甘えん坊の彼女が、こっちの気配にも反応することなく席を外したのが無性に気になったのである…。

 

※ ※

 

P-21A”バルゴ06”の機内は、前から大きく3つのコンパートメントに分かれている。一つはコックピット。2人の正副操縦士の領域。中央がオペレーション・コンパートメント。ここには各ミッションに特化したコンソールが4つ並んでいる。そこには指揮官である戦術主任、通信、武器管制、センサーの各担当者が座る。後方には武器エリアになっていて、ここからソノブイをはじめとして発煙弾、音響弾、照明弾などを投下する投下口があるのである。そして最後尾がトイレを含む休憩エリアであるギャレースペースになっている。そこへと吉岡柴は急いだ…最後尾にあるレストエリアにある休憩用の並列複座の座席には、2人がけのところに、武器担当の佃島鳩子3等海尉を挟んで、左右の両側に武器員の笠置秋2等海曹と、笠置紀2等海曹の双子姉妹が並んで座っていた。彼女たちとは一瞬だけ眼が合ったが、気にせず吉岡柴はトイレに駆け込む…両手に部下を持余すかのように抱えていた佐伯鳩子が、こちらを哀願するような眼差しを向けていて、眼鏡の奥の輝きが非常に切ない色彩だと言うことに、吉岡柴は気づいていても、構っていられる余裕など無かった…。 

「…シャッツ!!…」

化粧室とレストエリアを仕切る薄いカーテンを閉じる。そしてトイレに駆け込んで、中から扉に鍵を掛けると吉岡柴はそのまま洋式便器に屈するように前屈みになった。ちなみにトイレは簡易水洗式で、便倉タンクに汚物を収容するいわゆる汲み取り式のタイプだが、防臭効果が高いので、鼻につくほどの悪臭は感じられない。高温加熱乾燥処理で焼却処分に近いシステムも組み込もうと組み込めるが、火気はなるべく禁止だし、余計な電力を食うシステムは、あまり用いられない。

「…ん…んんっ!!…」

高まる性感に、思わず指を唇に結えるように咥えてしまう…吉岡柴を含めて搭乗員全員、飛行中は、飛行装具の着用を義務付けられているが、着用しているのは上下のフライトスーツだけだ。戦闘機やヘリコプターの搭乗員たちとは違って、それほどの重装備ではない。本来ならヘルメットから非常用の酸素ボンベ・サバイバルキット・バイオセンサー・防弾ベスト・ピストル・サバイバルナイフ、そしてこれだけ着込むと体温熱が篭り易いので冷却ベストを纏う必要があるが、緊急時以外は、それらは一切装備せずにフライトスーツのままだ。これはP-21Aのキャビンは与圧され、気密が保たれている旅客機仕様だからだ。そのジッパーを急き立てられるように降ろすと、左手では切なくなった胸をシャツの上から掻き毟るように、ズボンを律するベルトを外すと、もう一方の右手は自然ともどかしくてしょうがない股座に降りて行く…

「…はぁ…」

その溜息は既に熱い吐息となっていた。身長150㎝とクルーの中では一番小柄な吉岡柴。その身体同様に、そのボディラインもスレンダーである。小ぶりな膨らみには、頂上にかなりの硬度で、2つのポイントがぴんと自己主張している。その感度が敏感になった先端から送り出される甘いむず痒さが背後から脳髄に突き刺さる。

「…あ、湿ってる…」

そして静かに下半身の股座の其処に落ちていった右手…指先に感じられた生濡れの下着…フライトスーツの隙間から股間に差し込まれた右手はビーナス・スポットを被覆する下着の股布の部分が、しっとりと水分を帯びて、彼女の外性の起伏をしっかりと反映して伝えていたのである。そして肌と布の隙間からゆっくりと、指先を直接、ビーナス・スポットへと進入させる…その陰裂のスリット溝に沿う形で指を粘膜とホールの間で静かに動かすと、円らな陰核がフードから顔を出して自己主張をするようになる。そしてランダムな指の遊戯は、ラビアへの周期運動に変化し、ひょんなタイミングでビーナス・スポットのホール部分を自ら侵食することになる…そんな自分の性器への自己調律は、ほんの数分での自己陶酔の頂点を迎えることになる…。

「…くにくに…」

「…びくリッツ!!…」

その時、彼女は自ら跳ね上がったお尻が強かに扉に当たって、ロックが跳ね上げられて、施錠が解除されていることに気づいていなかった…

「…カチャリッ…」

背後のドアが静かに外に向かって解き放たれた。外開き式だった…そして性感の昂っている吉岡柴の気づかない間に、背後に忍び寄る影があったのである…。

「…ずるり…」

「…(!o?)…」

背後から少し強烈な力が加わる…それは吉岡柴のズボンへと加わっていた…。

「…先輩!?…」

「…ふふ…」

其処に居たのは、吉岡柴の最愛の女性である諏訪部麒麟その人だった。何かこちらを見透かしたような笑みを浮かべていた。ちなみに麒麟は、身長167㎝。その身長差は17㎝にもなる。何時も吉岡柴が見上げる存在の彼女は、頼りになるお姉さんであり、そしてベッドの上では、常に導き手であった…麒麟が思い切り吉岡柴のズボンを下げると、薄紅色のひも付きショーツが露になる。

「…しゅるり…」

ひも付きのショーツは、麒麟の指先に掛かると、簡単にその結び目は解かれていた…そして露になった吉岡柴のコケティッシュなお尻…軽いキスを尻たぶに浴びせながら、両手の指先を2つの肉塊に掛けると、そのお尻に一筋伸びるクレバスを寛げた。そこへ顔を押し付けるようにする麒麟。甘酸っぱい蒸れた湿度の高い匂いが、麒麟の鼻の粘膜を擽る。女が女のフェロモンの存在を嗅ぐ。その行為は動物的というより動物の本能行為そのものだ。姫百合と菊輪を包含するこのスリットがビーナスに形容されるすべての女性の持ち物だ。”…女に愛される女…”、吉岡柴にとって、今、自分が麒麟にされていることがその全てだ。これが受け手の心象ひとつで、”…女に犯される女…”に変わるわけだが、吉岡柴に関して言えば、相手がどう思っていようが、麒麟を慕う一途な気持ちに揺らぎはない。麒麟が吉岡柴以外の飯田や燕城寺らと夜床をともにすることがあっても、自分もそれに混ざったし、麒麟以外の女性とも肌を重ねた。それは単純にみんな同性の絆があるからだし、麒麟だけがみんなを味わうのは、不公平だと思ったからだし、それを逆にしないことは、このバルゴ06のクルーの中での無用の遠慮と言うものだ。要するに本命の彼女が居ても、クルー同士で女同士の絆を肌で確かめ合わないのは、失礼に当たるのだ…ここの処女宮はそんな共同体である。

「…くチュぅ!!…」

 粘膜と粘膜が衝突する何か熟れ過ぎた果実が押し潰れるようなノイズがした。麒麟は剥き出しになって、顔前に突き出されている吉岡柴の外性器にむしゃぶりついた。吐淫された密液を粘着質のノイズ音を立てて啜る。

「…ひゃう!!…先輩…あふ?…」 

思わず腰を引くようにくねらせてしまう吉岡柴。唐突とも思える行為に思わず慌ててしまうが、小ぶりな吉岡柴のお尻の間に顔を埋めながらクンニを続ける麒麟。そんな弾けるように瑞々しいお尻は、両手で掴みながら逃がさない。 

「…じゅるじゅりゅりゅ!!…」

「…あィ、いや、あふぅ!!…先輩!!…」 
元々が快眠キットであるはずのマグネバンドで、吉岡柴を欲情させるように仕向けていたのは麒麟だった。そんな彼女が今度は、その指技と口戯を駆使して、吉岡柴のビーナス・スロット…快楽のスポットの出入り口に…直接アクセスしていたのである。すると突然、吉岡柴のお尻から顔を上げた麒麟…。
「…先輩?…」

急に愛撫を麒麟に止められて、戸惑いを見せる吉岡柴だった…物欲しいのと、何を言われるか分からないことだった…。 
「…実際にあたしに弄られるのと、マグネバンドで気持ち良くなるのはどっちがいいの?…」

そう問い掛けながら、吉岡柴のビーナス・スロットに指を進入させる麒麟…。 
「…一緒にしてもらったら、2倍気持ちいいですぅ!!…」

「…えっちなことには、とことん欲張りなのね?…」

「…んはっ!?…」

思わず喘ぎが噴出しそうになるのを、唇をかみ締めて留めた吉岡柴。その時、麒麟の細長いしなやかな中指と薬指が、吉岡柴の取り分け小ぶりなビーナス・スロットをより深く刺し貫いた。小ぶりでもそこは女…純潔を捧げた相手に、今も変わらず愛されている、この至福の時間が、吉岡柴には何よりのオーガズムのエッセンスであり、2人の絆の証なのである。彼女のビーナス・スロットに潜ませた麒麟の指先は、スロットホールの只中にあるGセクション(スポット)を穿つストロークと、子宮系の震えに合わせた絶妙なバイブレーションを与えることが出来たのである。 
「…柴(まつり)…切ないなら、我慢しなくても良いのよ?…」

「…先輩…イヤ…ですぅ…」

麒麟は静かに立ち上がると、後ろから吉岡柴の身体をしっかと抱き止め、背後から彼女の耳元にそう甘く麒麟は囁きかけながら、その間中も姫百合…ビーナス・スロット…に、右手は差し入れられたままだった。その動きは、指にまとわりつく肉のうねりを乗り越えて、彼女の内部をまさに攪拌する動作に他ならない…そして荒くなる吉岡柴の息遣いと、腰の動揺…それが時に麒麟の右腕にも負担をかけるのだった…そっと麒麟は吉岡柴を背後から項をキスでなぞる…そして彼女の右耳を軽く食む…麒麟の左手は、背後から吉岡柴の小ぶりなバストを掴むように揉みつつ、右手は彼女の股座の姫百合に刺し伸ばされていた。思わず鋭い声が吉岡柴の口から衝いて出る…。 
「…ンあん!!…」

「…くちゅくちゅ…」

「…あ、はぁあ!…」

差し込まれた麒麟の指の律動が忙しくなると、吉岡柴の苦悩もやがて我慢の限界を超えて、極値へ向かおうとする…先ほどの切ない吐息は、より切迫的な息遣いに変化していた。相手を自分の手で追い詰めることが大好きな麒麟だが、この声がこれ以上、外部に漏れ聞こえるのも後味が悪いかもしれない…そう思って、麒麟は吉岡柴に口封じを施すことにした。麒麟はフライトスーツの上着のジッパーを下ろし、そのままTシャツをたくし上げ、ブラジャーを外すと、褐色の日焼け度の高いもろ肌を露出させた…そしてF近いボリュームの右房を吉岡柴の口元にそっと近づける…差し出された柔房を、吉岡柴は見紛うことなく、そのまま唇に含んだ。麒麟のその大きなボリュームを口の開口面積一杯に食む吉岡柴。理性を見失うほど高められる自分の性感に、それを少しでも戸惑わせてくれそうな魅惑的なものが、吉岡柴の目の前に表れたのである。それが麒麟のバストである…麒麟の乳房に吸い付いた吉岡柴は、執拗に口の中で、紡錘形の突端にある乳首をこね回す。傍目には、赤ん坊の乳母の役という感じなのだが、これが大きな赤ん坊では、単純に乳に吸い付いているのとはわけが違う。唇で舐(ねぶ)られて、歯列で嵌(は)まれて、舌先で突付かれて…それらの動きは、赤ん坊では中々合成できないものだ。思わず全身を覆う鳥肌のような背徳感に麒麟は仰け反ってしまいそうになる…。 
「…あっふん!…」

甘い鼻息が漏れてしまった麒麟。吉岡柴に乳首まで食まれて、乳腺細胞まで活性化してしまったのか、麒麟のボリュームの突端からは、真っ白な乳汁が滴っていた。未だかつて妊娠してもいないし、経験したこともない彼女だが、乳腺細部の活動が他人より活発なせいか、”…垂乳汁娘…”という状態にある諏訪部麒麟。このバルゴ06のクルーの中で、乳房から汁を出すのは、もう一人コーパイロットの燕城寺真弥がいるが、この2人はクルーの中でも、特に胸の大きな2人だったその乳腺の恵みの汁が、それほどの噴出量は無いのだが、吸い付く吉岡柴の喉を潤した…。 
「…じゅくじゅくじゅく!!…」

「…んんん!!…んんーっ!!…」

麒麟の右手が差し込まれた吉岡柴の胎内では、初期の粘着質な音から、より水分の含んだノイズに変わった。体液の分泌量が増しているのだ。そして麒麟の指を、キューッと包み込む子宮系筋肉の収縮。それは吉岡柴が一定の高みに達したことを物語るものだった。 

「…あ、いや…」

麒麟は早速、吉岡柴の中から指を引き抜くと、その恥汁塗れの指先を丹念に嘗めた…。 

「…嫌って何のこと?…」

何を言わんとしているのか分からない…そんな薄情とも思える表情で小首を傾げる麒麟は、さらに吉岡柴を性的に追い詰めることにした…麒麟は吉岡柴を改めて正面に見据えると、そのままわき腹など腹部にキスを繰り返しながら、彼女のむき出しになっているデルタゾーンへと接触させた。 

「…にちゅ…」

麒麟は吉岡柴に左足を掲げさせる…そこは片足を抱え上げた動作で、自然と引きつられるようにくつろげられた…吐蜜間もない吉岡柴の姫百合は、まだ合わせ目がほころびを見せていた。それを麒麟は両方の指先で、外の花びらから大きく広げる。そこに濡れ光る真っ赤な女の肉花が一輪咲いた…。 

「…ああ、先輩…いゃぁ~~…」

その吉岡柴の下腹部から股間の切れ込みに至る…ビーナスライン…曲線に、キスの愛撫を降らせる麒麟。しゃりしゃりした感覚が麒麟の皮膚や、舌先に敏感に伝わってくる…それは肌が荒れた鮫肌とは違って、短く刈り込まれた毛の剃り残しや、伸びはじめの硬さに似ていた。恥丘を縁取るデルタゾーンから陰毛の茂みが無いのだ。厳密に言えば、ちゃんと成熟した証に、薄めとはいっても生え揃っている。吉岡柴に局部の剃毛を命じていたのは、誰あろう麒麟その人であった…。

 

※ ※

 

佃島がオーガズムの余韻を愉しんでいると、彼女を導くために前後の肉孔に差し込まれていた秋と紀の2人の手は、さっさとスリットから引き抜かれてしまった。そのときの不満が、2人に遣り込まれ放題でいる日頃の彼女の鬱積に火を着けた…素早く…というには、些か緩慢ではあったが、ややもつれるようにして佃島は立ち上がると、2人に精一杯の強い命令口調を発た…。 

「…これより身体検査を開始する。全員、後ろで両手を組んで、額を壁につけ!!…」

強い命令口調の佃島。それは秋と紀の笠置姉妹に向けられたものだったが、これに意図せず隼砥が甘いブレスを漏らしながら率先して加わる。

「…あー、みんな持ち場にいないと思ったら、みんなで気持ち良いことしてるぅ!!…」

そう素っ頓狂に云ったのは、音響センサー担当士官の隼砥教子1等海尉だった。クルーの中では一番年長の三十路なのだが、その言動はつとに幼い印象を与えるものだった…その縁なしフレーム眼鏡からは、何時にない鋭い眼光で、秋と紀を見据えていた佃島だったが、それに一番、魅入られていたのは、隼砥だった…彼女はこれから起こるであろう、出来事への期待一心に勝手に眼をうっとり潤ませていたのだ…。 
「…検査開始だ!!…」

「…は~ぃ!…」

「…え?…」

「…鳩子先輩?…」

そして余勢を買って佃島は、3人のズボンをずり下げた。隼砥は能天気に、秋と紀の羽鳥姉妹は、攻守のポジションが完全に入れ替わっていることが、少々違和感を抱いているようである。 

「…へぇ…こうしてみるとまるでお尻の品評会をしてるみたいね…」

丸出しになった瑞々しい白桃が3個。左右両翼に秋と紀の笠置姉妹。2人にサンドイッチされる形で、隼砥が川の字に並んだ…そして厭らしい。 
「…散々、私のことを弄んでくれたわね?…ほんとにどうしようかしら?…」

「…バチン!!…」

「…んっつ!!…」

一転、その秋を見据える佃島の眼には、サディスティックな光が満ち満ちていた。 
「…何を期待しているのよ!?…一番年上のくせに!!…」

「…バチン!!…」

「…あぁん!…」

次に一撃を食らわされたのは、期待に胸を躍らせていた隼砥だった…正直、こういう環境でのこういうプレイって大好き…萌えるの…。 
「…あなたも私にこういう展開を期待していたのでしょう?…」

「…そんなの…してません!…」

「…誰が言葉を返して良いと言った!!…」

「…バチン!!…」

「…んっつ!…」

最後に口答えした紀に一際、大きな張り手を喰らわせた佃島。秋、紀、隼砥の3人の白桃のようなお尻には、佃島のバッシングによって朱印のように佃島の手の烙印が刻み込まれていく…。そして彼女たちの姫百合は、期待にほころびを見せ、じんわりと開花に向けたプロセスを歩んでいた…。

 

※ ※

 

「…あん、はぁ!!…」(←麒麟の甘い声…)

「…ああぁん!!…」(←吉岡柴の喘ぎ声…)

「…あぁいい!!…」(←隼砥の淫な声…)

「…やぁん!!…」(←笠置秋の乱れ声…)

「…んぁはぁ!!…」(←笠置紀の荒い息…)

「…んんn!!…」(←攻勢に転じた佃島の息遣い…) 


後部キャビンの隔壁ドアを開けたその向こうには…女だけの酒池肉林の光景が広がっていた。一種異様だったのは、女だらけの切なく甘い嘶きが部屋中に満ち溢れていることだったが、吉岡&諏訪部ペアは、吉岡が上で諏訪部を下にして、床に折り重なった巴の69の体位だったし、笠置の双子姉妹+隼砥vs佃島のハンデマッチでは、佃島が他の3人を壁に向かわせて、両手で2人の穴倉を手篭めにし、真正面に見据えた白桃深くに、顔をねじ込むようにして、相手のビーナスポットにアクセスしていた…。

「…(!o*)…」

「…みんなで何してんの?…」 
その光景に思わず絶句する内藤桃子と、ようやく言葉を繋げる飯田思信。2人とも程度は違っても、呆れてしまっていた…そもそもここのクルーの生活リズムは、”…性生活、時々、食事と仕事…”という具合だった。何よりそれを最優先で実行しているのが、機長である思信だったわけだから、あまりここでの有様に上等な文句を言える立場には無いのだが、それでももう宴に人的リソースを費やすことの出来る状況にはない。

「…あなたたち、即刻、持ち場に戻りなさい!…」 
桃子は踵を思い切り床に打ちつけながら、びしっと指を指して、各自の思考を仕事モードに切り替えるように、有無を言わさずの態度である…この場では、生活指導の先生か、風紀委員のような役割を演じてしまう桃子だ…。
 「…え~~~…」

とは、隼砥だった。まだオーガズムを感じる途上にあったのに、桃子たちのお陰で、梯子を途中で外されたようなものだからだ。 

「…スキンシップは止めにしてさ、みんな早くポジションに就いて。急ぎの仕事なのよ…」

 そうみんなに諭すように促す志信。そしてじゃれあうように、絡み合っていた女たちは、三々五々、解散して持ち場に戻ることになる…。



(続く)
  1. 2007/01/01(月) 21:17:29|

2007年の初日です。(バルゴ06その3)

 

※ ※

 

サウジアラビア沖ペルシア湾上空、6500m。周辺の公海上を航行する船舶を監視していたP-21Aに給油を行うため、クウェート上空より南下してきた航空自衛軍所属KC-767 J”フューリー22”。その機内である。コックピット後方右舷に設けられたブームオペレーター席で大神小百合1等空尉は、

 

「…ふぅ~~…」

 

と溜息を付いた…KC-767J”フューリー22”とP-21A”バルゴ06”のランデブー。KC-767Jの乗員は機長・副操縦士・給油オペレーターの3人。機長は鷲見雛1等空尉、副操縦士の弓梢朋衣3等空尉、給油オペレーターである大神小百合1等空尉の運用に必要な最小限のクルーチームで構成されていた。彼女たちは既にイラク南東部で、イラン国境の哨戒飛行を続けるフライングタイガースのF-15IR及びF-16Eに燃料を提供していた。そしてその残りをバルゴ06に供給しようと言うのだ…予定ではもう帰路に就いていたはずだったのだが、その前にスケジュール外の給油が入ってしまった。 

「…こちら海上自衛軍所属”バルゴ06”です…”フューリー22”聞こえますか?…」

 

そんな音声が大神のヘッドフォンにも届いた…どうやらお客が近くにいるようである。 

「…こちら航空自衛軍所属”フュ-リー22”です。”バルゴ06“、明瞭に聞こえます…」

 

そう答えたのは、副操縦士の弓梢朋衣の声だった。この給油機のクルーもまた女性のみだった。

 「…そちらの左翼後方7時方向、3000mほど後方に占位しています…」 

そんなコックピットとのやり取りを耳にしていた大神は、再び空中給油のルーチンをこなす準備に取り掛かる…先ずは夜間給油に必要な機外の照明灯を点すことにした…。

 

※ ※

 

夜間照明のために照度を落としたP-21A”バルゴ06”コックピット内部…ヘルメットの眼前に装着した4つ目の微光暗視装置によって視界を確保していた。昔のものに比べて光電子増倍管も半分以下の厚みであり、片方の視野を2つで確保し、画像はOLEDスクリーンで一纏めに表示する形式だ。通常の2つ眼に比べて倍近い120度の視野を確保できるのだ。 

「…ここら辺りがランデブーの空域だけれど…」 

副操縦士の燕城寺と、機長の思信は、天井から吊り下げ式のオーバヘッド型HUDを眼前に下ろした。この視野に外部の合成画像が映し出される。 

「…あ、見っけ!!…」 

先に相手の機影を見つけたのは、以外にも左の機長席に座っていた思信だった。筋雲の合間から機影とともに、規則的なフラッシュを繰り返す機外照明が垣間見えた…。 

「…右翼前方…こちらから見て1~2時の方向よ…」 

云うと燕城寺は、 

「…こちら海上自衛軍所属”バルゴ06”です…”フューリー22”聞こえますか?…」 

そういって、航空自衛軍とのKC-767Jに呼びかけ、相手との通信ラインを開いていた…。 

「…こちら”フュ-リー22”です…機外照明からこちらの位置が判りますか?…」

「…ええ、見えています…」 

コースを維持したままのKC-767Jに、P-21Aは少しずつ、横にスライドするようにしながら空中給油機の真後ろに遷移した…。

 

※ ※

 

コックピット直後のRORO(遠隔制御燃料供給)ステーションで、再びHMDを被りなおした大神。ここに遠隔視野システム(RVS)という外部画像センサーからの映像が映し出される。立体的なビジョンで給油の様子を映し出すことが出来る。そこには、そろりそろりと慎重に、後方に進出してくるP-21Aの機体が大写しになっていた…。 

「…指示誘導灯を点灯…」 

こうすることで、相手にもこちらとの相対位置が判るはずだ…。 

「…給油ブーム展開…」

「…ウィーム…」 

尾部に装備されている空中給油の要であるフライングブーム…要するに空飛ぶホース…が、給油ポジションに降りてくる。後は相手の機体がこの真下に来て受油口を開き、そして最後にこちらからフライングブームの中に収容されている給油ブローブを伸ばし、その相手の受油口に挿入して燃料を送り込むことになる…。 

「…相対位置よし…」 

互いの速度と高度が一定して初めて、フライングブームに収められていた給油プローブを伸ばし始める。その操作はコンソールに座った大神が、左右の手でジョイスティックを動かしながら微調整を行う。ブームを風に靡かせながら、風にブームを乗せる作業…そして相手とドッキングさせるのが、フライングブームの給油の作業である。それと真逆になるのが、プローブ&ドローグ方式だ。先端に受け口の付いたホースを伸ばすのだが、これは相手がこの受け口に機体に備わったプローブを差し込む。こっちはただ給油ホースを伸ばして安定飛行するだけだ。目の前に展開される映像は、暗闇にボンヤリと光るP-21Aの機体上部が見えていた。コックピットの機体上部には、空中給油の受油口、空中目標監視用のAIRBOSSと呼ばれる赤外線画像センサー、衛星通信アンテナの各ドームが並んでいたが、機体の上部だけでやたらと起伏のラインが多い飛行機だと思った…レーダーステルス性やら機体表面の気流の流れの乱れなどで、何かしらの不都合が発生しそうだが、そこまでステルス性や機体表面の整流も厳密には求められていないのだろう…それはよりで高度な残存性と機動性を要求される戦闘機などを基準とした話だ…ある意味、戦闘機のような力学的に洗練されたスタイルの対極に位置するのが、この手の旅客機のスタイルだ。 

「…給油プローブ伸長…」 

P-21Aの受油口の扉がぱっくり開いて、その内部に隠されていた受油口のホールが現れた。ホールは赤い光を放つ、OLEDの発光体で縁取られていた。その穴目掛けて慎重に延びていく給油プローブ。旨く差込が出来たところで、赤い光がグリーンに変わった。これはドッキングが成功したことを意味していた。 

「…給油プローブ差込完了。送油開始…」 

大神の仕事の山場は、ここに終わった…。

 

※ ※

 

燕城寺は、HUDに映し出される合成された強化画像を見ながら、ステアリングを握っていた。先ほどまで彼女に夜の光景を見せるため、眼前に掲げていた微光暗視装置は、跳ね上げてしまっていた…。 

「…もう少し、もう少し…後もうちょい…」 

その画像には、KC-767Jの尾部から伸びる給油用フライングブームが映し出され、その胴体下部前部には、相対ポジションを把握するための指示誘導灯が設けられている。この表示灯の中央に位置すれば、グリーンのライトが見える。これを頼りに自機の姿勢微調整するのである。後はこの位置をフライトコントロールのコンピューターに記憶させれば、自動的にこの相対ポジションを維持し続けるが、そのための情報は、画像センサーから齎されたものだ。受油口はキャビンのほぼ真後ろに位置するため、コックピットからは死角になるのだ。 

「…給油プローブが伸びてきた…」 

そのことが映像で判るほど、コクピット上部に仕込まれたカメラが、その位置計測の役割を担う…。他にもP-21Aでは、画像センサーが随所に仕込まれている。外部の状況認識を高めるため死角を減らすために視覚センサーを配したのである。これは旧来の光学式ミサイル警報センサーの代わりになっている。それは機体のノーズ左右及び、後部左右の4箇所。胴体中央下及び、上面に相手の光学式センサーの目を眩ませるレーザージャマーが2箇所。機首下に水平目標索敵用の赤外・可視光を用いた電子光学(EO)センサーがある…。 

「…ゴツン!!、コンコンコン…」 

受油口にプローブが差し込まれた…。 

「…燃料の給油が開始されたみたい…」 

思信が燃料表示を見ながら呟いた。コンソール・ディスプレイに表示されていた燃料ゲージ表示が少しずつ回復している。その間、他愛の無い世間話を空自との間で潰そうとした…。 

「…そちらも災難でしたね…私たちに燃料補給なんて…」

「…いいえ、わたしたちのフライトは、これで終わりですから、それよりあなたたちの方が、これから過重労働になるんでしょう?…」 

その相手の声が思信の耳には、聞き覚えがあった…鷲見雛1等空尉だ。そもそも自衛軍航空部隊の展開先は、クウェートの航空基地であり、そこでは陸海空の分け隔ては無い。 

「…そうでもないですよ。ウンムカスルの上空をフライパスするだけですから…」 

口で言ってみたほど、そう簡単に終わるものでもなかろうとは、思信も予想していたが、それでもミッションは燃料補給分の延長2~3時間程度で交代せざるを得ないと思っていた。既に7時間以上の飛行時間を重ねているからだ…まだ交代のミッション・クルーは、発進準備できていないのかもしれないが、それでもこちらには肉体にも、機械にも物理的な限界がある。休息は是非にも必要だからだ…いくら眠気をサイコミュシステムで、吹き飛ばすことが出来ても、肉体的に蓄積された疲労も、何れはサイコミュの磁気刺激でも吹き飛ばせなくなってしまうだろう…。 

「…こちらのお腹も底を着いたみたいね…」 

ヘッドフォンの向こうで給油オペレーターの大神の呟きが聞こえた…。 

「…給油終了…残燃料72%にまで回復しました…」 

燕城寺が思信に伝えた。コンソールに目線を落とすと確かに燃料ケージの上昇は停止していた。

 

「…ガツン!!…」

 

そんなくぐもった音と振動が機内に響いて、給油プローブが引き抜かれると、 

「…幸運を祈ります…」

 

その一言で”バルゴ06”との交信を締めくくった”フュ-リー22”…

 

「…それではご機嫌よう…」

「…ご機嫌よう…」 

そんな返礼を”フューリー22”に返した思信だったが、変に気取ったものではないにしろ、何だか昔過ごした女子学校時代のような呼吸が甦ってきて面白かった。その後、何事も無かったように,KC-767Jは基地への帰還コースに就き、P-21Aはそのままウンムカスル沖へと針路を向けた…。

 

※ ※

 

P-21A”バルゴ06”がウンムカスル沖上空に進出するのに、それほど時間は掛からなかった…

 

「…桃子、見えてる?、2時の方向…」 

機長の飯田思信1等海尉がコックピットからキャビンの中に居る戦術担当士官の内藤桃子1等海尉を呼び出した…桃子はコンソールのスクリーンに外部画像として転送されていることだろう…。

 

「…ええ、はっきりとね…あれって高度どれくらいかしら?…」 

思信はコックピットの窓の外に、空中にレーザー光のかがり火で、

“SOS” 

のプラズマ化された青紫色の大きな文字群が、夜空の中にあっては一際明るく犇めいていた。それをP-21Aは高度約2000mから右斜め前方に見ていたが、光の文字は上空5~6000mくらいにまで到達しているように思える。吹き抜ける中東の風が運んでくる砂塵なのか、レーザー光のカーテンに埃が吹き抜けていくのが判る…そんなところへ直接機体を晒すようにダイブする気は、さらさら起きなかった…だから言われなくても、”バルゴ06”は遠目に眺めることしか出来ないのである。

 

「…施設周辺のレーダースキャンを開始しますか?…」

「…お願いします…通信士は衛星及びデータリンクを開いてデータ送信準備…この高度で好いから飛行コースはゆったりとお願いね…」

「…通信士、了解です…」

「…コーパイ、了解です…」 

センサーオペレーターの諏訪部麒麟2等海尉、通信担当の吉岡柴2等海曹、副操縦士の燕城寺麻弥2等海尉らに指示を出す桃子。コクピットでP-21Aのハンドリングを担当していたのは燕城寺麻弥2等海尉だ。バーベルのように陸と海の端境で、対になって横たわる核処理施設と淡水化プラントを、機速を300ktまで落としてゆったりと周遊するように旋回飛行する。施設エリアを直接、通過するようにフライパスすると地上からの対空砲火に晒される危険性が付き纏う。 

「…砂嵐が起きてるみたいね…砂の量はそうでもないか…」 

機長席で思信は、ウェザー表示にしているサイドパネルのマルチスクリーンを覗きながら呟いた。その中では気象観測チームからの天気予報と、機首に装備するレーダーで得られた気象画像が重ねあわされている。思信がタッチパネル画面をなぞるまでも無く、内陸部から砂塵を運ぶ貿易風が、ここウンムカスルからアラビア海にまで連なる赤いベクトルで示されていた。P-21Aの機首に装備するJ/APQ-21(V)3は、索敵レーダーであるとともに、ウェザーレーダーの役割も果たす…上空には砂漠からの砂塵を巻き込んだ砂埃が降り注いでいて、どうしても飛行高度をその砂塵が海に吹き降ろす高度より高めに変更せざるを得なかった。ただし吹き込む砂塵の量は、P-21Aのフライトに何ら影響を及ぼすものではなかった(←つくづくご都合主義…)。

 

「…内藤さん…レーダー画像上がりましたけれど…」

「…ありがとう…そのまま赤外線によるスキャンも継続してください…」

「…センサー、了解です…」 

その気象レーダー機能とともに、上空から施設周辺を一度周回しただけで、レーダー電波による施設の合成映像が静止画像のCGで、桃子の目の前にあるミッション・コンソールのスクリーンに表示される。その間約10数秒。描出された模様は、思信もコックピットのサイドパネルで確認する。P-21Aのコックピットのコンソール・スクリーンは、水平儀や機体の姿勢や針路方位といった基本表示(プライマリー・ディスプレイ)用の縦長のカラーコンソールが2面ずつ、パイロット2人分用意されており、中央にエンジンや航法マップなどの付帯情報を表示(セカンダリー・ディスプレイ)する同じ仕様のスクリーンパネルが4面あり、各パイロットのサイドパネルには自由に使える多目的用のマルチスクリーンが一面備わっている。 

「…艦隊へのデータリンク及び、司令部への通信衛星ライン接続完了です…」

「…了解…ライブでのデータ送信開始…」

「…了解です…直ちにデータ送信開始します…」

 

コミュニケーションラインを開いたとの吉岡柴の知らせが桃子の耳に届いた時、溜まらず放っておかれた方が口を開いた…。 

「…桃子ォ~~…あたしにやることは無いのォ?…」

 

とその場の空気を突然、弛緩させるような口調で言い出したのは、音響センサー担当・隼砥教子1等海尉だった。 

「…サイコミュ・バンドでも使ってしっかり目を覚ましてください!!…」

「…あ~ん…さっきの続きしたいなァ~…」

 

子供っぽく駄々を捏ねる隼砥に、桃子はついに堪忍の緒が切れた…。 

「…もぉ!、だったらそのエッチな気分を、さっさとサイコミュで冷ましなさい!!…」

「…うヴ…」

 

桃子を前にして、唇を尖らせて少しだけ拗ねてみせる隼砥だったが、そもそも脳への磁気刺激で眠気を取るサイコミュ・バンドは、単なる覚醒機材だ。サイコミュの由来であるサイコミュニケーション…脳の神経活動を磁気スキャンして、互いの心のやり取りを行う…性能は、まだ実現できていないから、今の時点では完全に名前負けしている。 

「…ふーん、いいもーんだ。桃子が冷たいから、麒麟ちゃんと仲良くしちゃうんだから…」

「…隼砥1尉…」

「…むっ!!…」

 

云いながら隼砥は、隣席の麒麟の右腕にわざとまとわりつく…それに麒麟は少々迷惑顔だったが、それ以上に吉岡柴はむっとした顔をしている。といっても隼砥は、HMDのアイピースを眼前に下ろしながら、スタンバイモードで眠っていたスクリーンを起動させて、即座に赤外線画像センサーからのモニター映像を映し出した。これはレーダー関係のオペレーティングに忙しい麒麟のバックアップ作業に他ならない。はなからそうしてくれれば、こっちも助かるのだが、桃子も桃子で隼砥に指示を出さなかったせいもある。そもそも隼砥が担当するのは、海面下の索敵に使用する音響センサーがメインだが、それはあくまでチームのポジションの話であって、ワンマンもしくは無人運用が基本の空軍の戦闘機とは違って、哨戒機はクルーの結束したチームプレイが要求される。その点は臨機応変に何事もこなしてもらわねばならないのだが…隼砥は、桃子からの指示を待っていたのだが、一向に出してくれないので痺れを切らした隼砥がからかい半分に桃子に自分から言い出した。それは桃子に少しでも構って欲しいという心根に他ならなかった…それでも仕事になれば、弛緩した口調も止めざるを得ない。 

「…赤外線計測画像…地上施設に熱源を帯びたオブジェクト多数…もう既に先客が居たの?…」

 

隼砥はレーダーの情報を補完すべく、機首の下に装備されている電子光学(EO)ターレットを、ターゲット方向に向けて指向した。地上施設側の熱源だけで2~30の目標にカーソルコンテナが重なる。それらは明滅を繰り返していた。こんな状態ではコンピューターも自動的にロックオンモードを継続できない。それは対象が物陰に隠れたり、機体の移動でカメラの死角に入ったりとするからだが、数が予想より大きいことにそう感嘆を漏らす隼砥だったが、熱源は広範囲に散らばっている…このどこかにズームアップすると、その撮影範囲が狭まってしまうことになる。敵を攻撃する照準用にズームアップするわけでもない。ただ状況を把握するためには、広角画像が必要なのだが、今のミッションは対象施設の様子を見下ろす偵察監視飛行なのだ。その任務の性格に基づく倍率を選択しなければならない。 

「…地上施設で爆発的熱放射を確認!…」

「…内部からの爆発かしら?…」

「…よく判らないけれど、尋常じゃない…」

 

そんな会話が隼砥と桃子と思信の間で繰り広げられていた時、新たにP-21Aの索敵センサーは空中目標を確認した…。 

「…11時方向、相対距離25000m、高度600m、予想針路2-8-4、速力約90ktで空中に四機のヘリコプターの編隊を確認。うちの艦載ヘリ部隊みたいですね…」

 

麒麟が云う。緩い左旋回に入っていた機体の傾斜に合わせて、隼砥はそれらに向けて今度は、機体上部にあるAIRBOSSセンサーを左斜め前下方に指向させる。マルチスペクトルの赤外線センサーが首を振り、その視野に目標を取り入れた。対象の詳細な形状が画像認識できるようにフォーカスアップを繰り返す。見慣れたその特異なローターの形状から、SH-60K+だろうと思われた。空中のヘリコプターは味方の護衛艦隊から発進したSH-60K+。他にも海上には、水上目標が大きいもので2つ。”バルゴ06”を中心にした30㎞のエリア内に存在を確認していた。先ほど地上施設の静止画で合成イメージを得たように、逆合成開口モードでCGイメージが合成された。一つは貨物船。前部にブリッジを備え、中央はコンテナや貨物を収容するための2基の門型クレーンが設置されており、甲板はブリッジの前と後部甲板はヘリポートとなっていた。これはヒシザキ所有のテンペスト号。そしてもう一つは、味方の海上自衛軍の汎用護衛艦DD-161たかつき級の一隻であるよいづきの艦影だった…空中目標をサーチすると同時進行で、地上及び水上目標のサーチも同時に行われる。これも電波ビーム発振がコンピューター制御のアクティブ・フェイスド・アレイ・アンテナを持つJ/APQ-21(V)3のなせる業である…。

 

「…空中目標に向け、IFF(敵味方識別)信号、自動送信します…」

「…吉岡2曹、送信状況はどうです?…」

「…伝送レートが若干低下していますけど、ライブ送信中です…」 

桃子の問い掛けに吉岡柴が見るHMDのアイピース内の表示から読み取った…20Mbps伝送レートを確保しているとしていたが、実際上はそれも半分以下に低下していた…ビジー状態によりラインが先細りとのネットワークのコンディションが、数字とグラフィックで示されていた…。 

「…空中目標、SH-60K+スーパー編隊のIFFコード送受信終了…」

吉岡柴のコンソール・スクリーンにCGマップをベースにした戦術状況ウィンドウ画面では、IFFでの照合結果によって味方と認識されたSH-60K+には、飛行物体を示す三角に、味方の青いサークルで囲まれたシンボルとコードが割り振られて表示されていた。そのマップに新しくターゲットとして知覚された熱源が加えられていく…それに新しくIFFの敵味方識別の交信が終わって、P-21AとSH-60K+の編隊が交差する…ロックオンしていたSH-60K+のオートトレースは、P-21Aの機体上部のAIRBOSSセンサーから機首下部の電子光学ターレットへ自動的に引き継がれる。そのうちウンムカスル上空に到達したSH-60K+の一機が核廃棄物処理施設上空に進出する…。 

「…SH-60K+、ウンムカスル上空に到達…スーパー61降下開始…」 

地上施設の模様をスクリーンで監視していた麒麟が実況した。ホバリングしている機体から、細かな熱源がばらばらと放たれた。降下した陸上自衛軍の機械化歩兵・サバイバルギアの兵士たちだ。 

「…陸自の機械化歩兵のお出ましね…」

「…地上の熱源間に交戦を確認…」 

飛び出した熱源。それらが展開した時に、地上に元から存在していた標的が対峙する…後続機がホバリングを開始するかしないかの時、大きくブレイクしたSH-60K+は、左翼から鋭い熱の一線を走らせる。ミサイルを放ったのだ。それを地上の敵目掛けて放った模様だが、 

「…空中でミサイル爆発!!…」 

迎撃されてしまった。そしてミサイルを放ったSH-60K+は、そのまま地上の核施設への建屋を掠めるようにして施設上空を横断した。 

「…早速、派手にやり始めたわね…」 

地上の様子をいぶかしむ思信。これに桃子も応じた…。 

「…吉岡2曹、艦隊司令部への通信用意…エリア全域へのデータ配信を進言…」

「…了解なんですけど…」 

桃子に命令された吉岡柴は、早速指示を実行しようと思っていたのだが、HMDのアイピースには通信ラインの一方通行の状況が表示されていた…著しいネットワークの発達で、やり取りするデータ量は格段に増えているのだが、表示装置などに関して言えば、取り立てて大きな変化は無く、相変わらずなのだ。以前に比べて変わったのは、乗員の方だ。彼らは骨伝導ヘッドフォンに骨伝導マイクの付いたインカムに加えて、片眼鏡式シースルーHMDのアイピースを掲げた状態で、従前のコンソールに向かう姿が多くなった。インカムによる音声入力が可能になったが、これは音声をリアルタイムで文章化するボイスチャットや、同じくリアルタイムの自動翻訳には欠かせないが、機械とのやり取りに人間同士の話し言葉が介在すると、余計な混乱を現場に招くことから、それほど利用は進んでいない。このように些か飽和状態にあるデータを個人レベルで租借しようというコンセプトの元に、ウェアラブル式の携帯情報端末の普及を推し進めた。しかしその携帯コムツールが一つのテクノロジーの終局であり、爛熟期であった。その次のステップとしては、当然、情報機器そのものを、脳に新しい人工感覚器として直接コネクトさせる電脳化を含めた埋め込み方式(インプランタブル)になるのだが、電脳化技術の課題や、社会的な制約が大きく、中々思うように進展していない。 

「…了解だけれど何?…」

「…送信は可能ですが、艦隊司令部側の通信ラインがうまく開きません…」

「…それってどういう?…」

「…さっきからずっとだったんですけど、受信側の応答がないんです…」

「…電波妨害(ジャミング)を受けている?…」 

桃子が電子戦(ESM)のタスクをスクリーン画面に呼び出していた時、隼砥は試しに機体上部の画像センサーの首を振らせてみた…夜空にはアラビアンナイトの星の縮図が背景として横たわっていた。AIRBOSSセンサーは、元来、高硬度から敵国領内から発射される弾道ミサイルの熱源を探知することを目的とする高感度の赤外線画像センサーだったが、旧来の2波長赤外線センサーからP-21Aのそれは幾分バージョンアップされ、高感度可視光カメラとミサイルのレーザー追尾センサーが組み込まれている。索敵範囲は時刻や大気状況によるが、1~200㎞内外とされているが、大気汚染物質、火山の噴煙、オーロラや、稲光に伴うスプライトと呼ばれる発光現象を探知できる。そんなAIRBOSSセンサーが機体の真後ろ上方に首を振った時、斜め上方にうっすらとした帯を確認した…それは大気中を漂う汚染物質の帯のようでもあるが、規則的に棚引く様は航空機のブラスト・コントレイルに似ていたし、何よりP-21Aの真上に流れるのは可笑しかった…つまり人工的に思えた…。

「…機体の6時方向に特異な反応…」

「…特異なって?…」

「…私たちの機体の真上に棚引く帯の様子が人工的に見えるの…」

「…その根元をズームアップして見て!!…」

「…高度4000m付近に見えた!!…」 

隼砥はスクリーンに映し出していたブラストの帯を指先でなぞりながら、AIRBOSSの焦点にその根元を辿らせる…高度差で云ってP-21Aの2000m上方に見えたのは、前緑のV字と後緑のW字が組み合わさった見慣れたシルエットだった。QF-45シリーズである。航空自衛軍も国産機の開発の遅れからUF-1として導入した経緯がある。ターゲットを改めてイメージ処理で認識したコンピューターは、カーソルコンテナを重ね合わせた…遮るもののほとんど無い空中で、この距離に近づかれても気づかなかったとは、ほとんど致命的だ。相手がその気なら、こちらは当に殺られている…。 

「…QF-45タイプみたいですけど…」

「…あれって味方の奴?…」

「…IFF信号には反応無し…」

「…この距離でも見え辛いなんて…米軍のRタイプなのかしら?…」 

思信の問い掛けに吉岡柴が否定し、桃子が機種の同定しようとする。コンピューターが画像から種別を認識できても、それはグループ分けであって詳細なタイプまでは判らないことが多い。桃子が云った”…Rタイプ…”ことQF/V-45Rの”R”は、”Reconnaissance(偵察)”のRであり、無人偵察機として、そのステルス性の追求をより深めることで、サバイバビリティの強化を図っている。機体形状はベースタイプと基本形は同じままだが、電波反射を増やす可動翼の使用を減らすために、翼の断面をアクチュエーターの力で内側から変形させ、機体を操縦する断面形状変形翼を採用。ただしこの手法は、急激な機動は出来ないので、緩やかな遷移飛行など使用場面は限られる。逆位相電波を用いるアクティブ・ステルスは、電源確保の問題から採用は見送られている。可視光に関しては、機体全体に薄膜のOLEDによる表示アレイと、微細なカメラによる撮像アレイからなる電子光学迷彩を施している。ここに周囲の景色を映し出して、周りの風景に溶け込むのである。エンジンには、エンジンノイズとは逆位相の騒音を合成して流すことで、ノイズの低減を図っているほか、赤外線に関して、排気ノズル部分に大きな切れ込みを作ることでエンジンの排気に冷たい外気を取り込んで温度を下げる工夫をしているが、それに加えて気体に液体窒素のタンクを内蔵し、その窒素ガスを混ぜることで、さらに排気温度の低下を企図している。自衛軍が装備していない最新のRタイプはあまり表に出ることが無い。ここで得た排気の熱パターンは今後の参照データになるだろう…。

 「…機体6時方向下部にも同じく無人機です!…」 

隼砥は機首下部に装備された索敵ターレットも同じように機体の後方に向ける。上と同じように高度さのあるP-21Aと平行する熱の帯があって、その帯の発生の元を辿ると、今度はそこにコイのような機体…QR-21モーフ…がいたのだった。正面形状はY字断面の機体。中央に逆三角形の空気取り入れ口が大きく口を開け、機体の主翼は逆W字のガルウィング。これは折畳みの主翼である。QF/V-45Rと同じようにこちらからのIFF信号には応答が無い…種別上は無人戦闘攻撃機(UCAV)に分類されるQR-21モーフだが、QF/V-45Rに比べれば小型で光学迷彩などの徹底したステルス能力は付与されていないが、機体形状は無人機としてはベーシックな全翼機である。この機体が特別なのは、潜水艦の垂直ランチャーに格納され、水中から発射可能なように設計されていることだ。回収も水上に着水して潜水艦の発射管に引きずり込まれることになるが、主翼は折りたたまれ、機体は窒素ガスを用いて防水シールドを展開するが、そのガスボンベからの冷たい窒素ガスを排気に混ぜて、温度を下げるのはQF/V-45Rと同じ理屈である…。

 「…監視飛行を行うあたしたちへの監視…」

 桃子は呻いた。彼らが何をしていたのか?…それはP-21Aを監視することともう一つ。こちらからの電波を盗み取ること。電波収集任務である。例えばQF/V-45Rは、バルゴ06の上方に遷移していたが、これはP-21Aの衛星通信アンテナが機体上部にあるためで、逆に6時下方に居たQR-21モーフは、地上や海上に居る味方へのデータリンク用アンテナがあった。そこから送信されるデータを吸い取るには、ちょうど都合のいいポジションにいたわけである。 

「…それで…どうするの、桃子?…」

「……」 

思信に問われる桃子。この対抗措置をとろうにも、このP-21Aは銃やミサイルなどの火器類に関して非武装だった。しかしこのバルゴ06の現場指揮官である桃子は、この限られた状況中でも、これからの対応策を見出さなければならない…。 

「…無人機に対して機外灯を使って発光モールスで退去勧告よ。これで遠隔操作なら判るはず…それでも従わない場合は電波ジャミングでスタンドアローン(孤立)にさせる…」

「…それで?…」

「…相手の出方を見るわ…」 

思信の問いに桃子は言った…発光信号に関しては、機外照明を操作するスイッチはコックピットに集中しているので、思信や燕城寺がそれを担うことになる。しかし機外灯を何度明滅させても相手の行動は変わらなかった…。こちらからジャミングを仕掛けることで、相手の無人戦闘機も後方司令部との連絡を止めることが出来るが、しかしこちらも味方との連絡が不可能になってしまう。苦肉の策だった…出たとこ勝負なんて…桃子は内心、苦手だった。まぁ何事もそうだが、往々にして戦場での偶発的な出会い頭の会戦で、出来ることが限られてしまう。そこで要求されるのは、その突発自体に咄嗟に対処することの出来る瞬発力に似た決断だ。こればっかりは個々人の生来の資質、持って生まれた感性に因るのかもしれない。その点では桃子は、あまり得意ではない。だからこういう場面での指揮官は、思信や諏訪部の方が適任だと思う。 

「…外部状況に反応無し…これじゃ埒が明かないわ…」

「…電子妨害措置を許可します…」

「…ジャミング開始…」 

その妨害電波が発せられてから、相手の挙動に明確な変化が見られた…。 

「…あれ?…こっちに向かってくる?…」 

隼砥が云った。機体上部のAIRBOSSと、機首下部の索敵ターレットは互いに、上下に居る無人機の動向に目を光らせていたが、その画像の中でジャミングを仕掛けた始めた途端、上と下で一定の距離を保っていたQF/V-45RとQR-21の2機の無人機が画面一杯に迫ってくる…それはP-21Aをまるで上下からサンドイッチするようでもある。 

「…挟みこまれちゃった…」 

隼砥が云うまでもなく、その距離は見る見る縮まり、ほんの10から数mほどのぎりぎりの差で肉薄しているのである。機体の下に居たQR-21は、P-21Aにまさにコバンザメするように向かってきたし、上のQF/V-45Rは大胆にもアンテナドームの直後、P-21Aの垂直尾翼の直前にまで舞い降りてきた…。 

「…これじゃ身動きが取れない…私たちを脅してるの?…」 

これでは自分たちに従えと暗に言っているようなものだ。無人戦闘機のくせに味な真似をしてくれると思った…。 

「…まるで誰かに操られているのかしら?…」

「…ジャミングは利いているはずだから理屈では内部のコンピューター制御よ…」

「…だとしたらスタンドアローンの状態で、ここまで出来るならお利巧な制御ソフトなのね…」 

そんな緊迫したやり取りが隼砥や、桃子と思信の間で行われていたが、 

「…この後、どうするんですかぁ?…」 

そう燕城寺が次の行動を質す…暢気に事を眺めていて良い状況ではない…。 

「…機体の急激な機動も良いけれど、機体に傷つけられたら、こっちも危なくなるし…そぉねぇ…相手にレーダージャミングを掛けたまま、レーザージャミングで無人機の視覚センサーを眼晦ましして、その瞬間に逃げましょう…」 

燕城寺の問いに応えて桃子がそのオプションを提案した。幸いにもP-21Aには、その選択肢を実行するために打って付けのレーザー光を使う光波式妨害装置(レーザージャマー)・ターレットが機体の上部と下部に備わっていた。これは弱いレーザービームで相手ミサイルの電子光学シーカーを焼切る…までは行かないが目潰しするのが主な目的だった。これらによって機体を中心に上下の球状空間のほぼ全域をカバーするが、これを無人機の視覚センサーに向けて発射するのである。視覚センサーだけでなく、相手が周囲の状況把握に使用するレーダーを妨害すれば、電波と視覚を塞ぐことができる。ちなみに大出力の航空機搭載用の攻撃用レーザー砲もあるが、P-21Aにはそれだけの機内容積はあっても電源が無いし、システムを積むには、既存の哨戒戦闘システムを全て降ろさざるを得ない…。

「…レーザービームで相手のモノアイを潰すのは良いけど、下の無人機は超低空で水面を掠めた方が、離れてくれるんじゃないかしら…」

 

とは麒麟…だった。 

「…それより曳航デコイはどうですか?…」

 

吉岡柴も麒麟につられるようにして議論に加わっていた。P-21Aには光ファイバー曳航式のデコイ(囮)が装備されており、これは先端のデコイ本体からレーザージャマーと欺瞞電波を発射するものだが、自機からある程度、距離を置いて使用するものであるため、今のように相手がこちらの内懐深くまで入っていると、制限された運用しか出来ない。 

「…こんなに近寄られたらデコイじゃ手出し出来ないわ…」

「…じゃランチャーから物を落とせば良いんじゃないですか?…うまく当たるかもしれないし、パラシュートが絡まるかもしれないし…」

「…躱されたらどうするのよ?…」

「…だから目潰しのレーザー攻撃をするんじゃないですか?…」

「…下の奴は良いとして、上にいる機体は如何するのよ?…」

「…あ…」 

そんな麒麟と吉岡柴の喧々諤々の議論に思信が終止符を打った…。

 

「…大丈夫よ。あたしに考えがあるから…」

「…思信…」

 

力強く言ってくれた思信だったが、それでも桃子は不安だった。自分が投じた一石なのに、想像以上に広がってしまった波紋に、自分自身で明快に答えを出せなかった。でも彼女には、今は思信を頼りにするしかないのだ。 

「…上にいる無人機には、目潰しのレーザーを照射したら、すぐに機体をスライド移動させるの…多分、相手はQF/V-45Rだから視覚センサーが機首の下だけじゃなく、翼と胴体にもついているでしょう。それにも次々と命中させなきゃだめよ…前部の視覚センサーを目潰ししている間にこっちは逃げ出すの…下の無人機には、レーザーショットと物量投下の組み合わせを基本に臨機応変に出たとこ勝負で行きましょう…」

 

思信の語り口調は力強い一言だったが、中身はただ桃子の提案にパイロットからの視点を加味しただけだった。それでもこういう決断をしてみせる瞬間の思信は、桃子の信頼感を通り越して惚れ直させるに十分な姿に見えた。 

「…この難局を乗り切るために、みんなの命を私に預けて…」

「…思信さま…」

 

この思信の一言に陶然となる燕城寺や一同…それに負けじと桃子も続ける…。

 

「…この勝負はタイミングが全てだから、みんなの呼吸を合わせるのが一番大事なの!!…」

「……」 

桃子の一言にはみんなの反応が心なしか鈍い気がした。戦闘機械をシステマチックに操るには、何より繊細さが要求される。それは肌をときめかせる指先の動きと同じだ。そしてミッションチームとして一丸となって戦う時は、同期した動きが必要だ。それは女同士で肌を重ね合わせる時と同じだった。だからこそ互いに日ごろから肌を重ね合っている自分たちこそ、こういうピンチのときこそ、ここぞの強みを発揮できるのだという自負は、桃子や思信を含めたこの場のクルー全員の共通した認識だった…。

 

「…帰還したら、またみんなで好きなだけエッチなことしましょう…」 

ここぞの一言は、これに限る…チームとしての仲間意識に加えて、肉体的にもエッチで結びついている関係は、そんじゃそこらのものとは一味違うのだ…。

 

「…しましょう…」(←燕城寺)

「…うん…」(←麒麟)

「…私も…先輩といっぱいしたいです…」(←吉岡柴)

「…しよしよ…」(←隼砥)

「…賛成…」(←佃島)

「…了解です…」(←笠置秋)

「…アイ・ショーティ…」(←笠置紀)

「…基地に帰ったら、あなたを寝かせてやらないんだからね…」(←思信) 

と最後を締めくくったのは思信だった…その傍らで燕城寺が思信に、そっと耳打ちした…それを聞いてにんまりと、ほくそ笑む彼女…。

 

「…そう云えば、絶対に生きて帰るって誓わなきゃいけない相手がまだまだ居たわね…」

「…え?…」

「…みんな、ちゃーんと持ってるわよね?…」 

思信の言い草に桃子は一瞬、きょとんとしてしまう。そしてみんなは、胸元からお揃いの小さなロケットのペンダントを取り出して見せた。その中には個々人が慕い女性との卵子を単為生殖技術で掛け合わせたコンボエッグ(受精卵)を使った受胎カプセルが入っていた。これは愛の証であり、絆であるとともに、お守りの意味もあるのだ。絶対に母親になるまで、死なない…生き抜いて見せると言う決意の意味がある…。

 

「…リーダーの桃子は持ってないの?…」

「…そんなわけ…ない…けど…」 

言うと躊躇いがちにだが、桃子も胸元のポケットから、忍ばせていたロケット・ペンダントを取り出していた。桃子が卵子を掛け合わせた相手はもちろん思信だった…。 

「…ちゃんと生きて帰って、この子たちをこの世に産んであげなきゃ…私たちはママになる前に絶対に死ぬわけにはいかないのよ…」

 

言うと、思信はロケットに頬摺りすると、軽く口付けをしてペンダントを胸の中にしまう。他のみんなもそれに倣った仕草をした…これで心の臨戦態勢を整えた一同である…これはまだ見ぬわが子達と将来への彼女たちなりに感じている責務を、具体的に形にしているのだ…。 

「…あのぉー…この受胎カプセルの有効期限って、もうそろそろ終わりのはずですよね?…」

「…そうだったかもしれないわね?…」

「…じゃぁみんなでぇ…」

「…それは後にして!…」

 

燕城寺が受胎カプセルの使用期限が迫っている時限の問題を絡めて、これ以降の展開が終わったはずの思信との会話に、隼砥が加速を掛けようとした時に、桃子が途中で打ち切りの制動を掛けた。そもそも受胎カプセルの保存溶液には、食品の賞味期限ではないが、受胎カプセルの有効期限は半年程度のはずだ。その期限が迫っていたのだ… 

「…みんな気合入れていくわよ!!…」

「…らじゃ!!…」

 

思信と桃子の気合の入った号令に、他のクルーが呼吸を合わせた了解をした…。

 

(続く)
  1. 2007/01/01(月) 12:48:40|

2007年の初日です。(バルゴ06その5)

さて2007年元旦の初日から、俺の性癖と言うか、変態属性でぶっ放してみた自分ですが。"百合"や"ガールズラブ"と呼ばれる分野が大好きです。プラス"妊娠"に、ちょっとした軍事スリラーの薬味を加えてみたわけですが、まぁこれは未完のストーリーの一端でして、登場するキャラクターのほとんどは、百合漫画作品である某・少女セクトから引用しています。著者の方m(__)mです。そう言えば、某・淫倫オブジョイトイのM字開脚は、昔のヤンキーが巷でやっていた開きの良いう○こ座りなのではないかと思った。なぜそれを思い出したかといえば…なんでだろう?…ああ、お笑いウルトラクイズにインリンがチラッと顔だけ出ていて、桜塚奴君の出ていたエンタノ神様の録画していた奴を見ていたからだ…。それからつい最近、主人公が女性で、女性を調教するという自分好みのエロゲー"カスタム奴隷F"とそのバージョンアップソフトである"カスタム奴隷Fプラス"を揃って買い込んだのだが、スペック的には両者合わせて4Gバイトの記憶容量が必要なのだそうで。果たしてうちの陳腐化パソコンでは、本体のハードディスクに容量が無いので、必然的に外付けのディスクとなるわけですが、このディスクは4G以上の書き込みになるとリミッターがあるらしく、それを解除するには一から初期化しなきゃいけない。バックアップのデータを保存しようにも、うちには他に外付けのディスクが無いので…しかもこの拡張マシンは書き込みや読み込みも安定性に乏しくなってきている始末で難渋しております。これでは何のために1万もの大枚を叩いて楽しいエロゲライフをしてこの正月を乗り切ろうとしていたのに…残念でなりません(T_T)…
そんで暇潰しに背景の絵柄を変えてみました…俺って男ですけど、理由は単純。こういうデザインの女の子好きなんです。大して意味はありません…。

これでも俺のグーたらな正月の過ごし方が垣間見えるでしょう。

  1. 2007/01/01(月) 03:03:03|
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