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2007年の初日です。(バルゴ06その4)

※ ※

 

シミュレーションは、桃子の頭の中で描いた光景を、コンピューターに入力して、それをスクリーン上で検証・確認する作業になっていた。桃子の目の前のスクリーン上には、彼女たちのP-21Aとサンドイッチする無人機の今の位置関係の状況が描き出されている。今後の展開をみんなの目に判るように描き出してやることだ。基本的にはこの検証結果は、不確定要素も多いので、この時点では単なる簡単なCGアニメーションにしかならない…それらをクルーメンバーのそれぞれのディスプレイ装置に転送した…概略を知った思信がみんなの音頭を取る。 

「…レーザーショットはマニュアル操作で行います…上はキーちゃん、下は隼砥先輩が狙ってね…直後に機体は右方向に針路を変更します…そのカウントは私が行います…」

 

例えばQF/V-45Rの明確な視覚センサーの位置などは、コンピューターには登録されていても、それをどう目潰していくかなどの細かい手順は、コンピューターにこれからデータとして学習させなければならない…要するにまだ自動で行えるプログラムが無い…ので、先ずは人間の手で手本を見せてやらなければならないのだ。

 「…物量傘投下のタイミングは私が取りますから…佃島3尉、笠置2曹…頼りにしてます…」

 桃子が呟いた…機体の挙動を司るのは機長の思信。それらを含めて包括的にカバーするのがこの場の彼女の役割になる…コックピットでは、燕城寺がその時に備えてスロットルレバーに置いた…。

 「…思信さま…」

 スロットルレバーに置いた燕城寺の手に、そっと手を添える思信だった…。

 「…絶対に帰って、さっきのエッチの続きをしようよ…」

「…はい…その前に思信さまにして欲しいことがあるんですけど…」

「…なぁにまーや?…」

「…キスをしてもいいですか?…」

「…どうぞ…」

 思信は微笑むと、隣の燕城寺の前にそっと目を閉じて唇を差し出した。

 「…チュ…」

 静かに触れ合った2人の唇…。

 「…どう、少しは落ち着いた?…」

「…ええ…はい…なんとか…」

 

これからのミッションに対する自分の拭えない不安…それが思信には、唇の渇きと震えになって伝わったのではないかと思った…。

 

「…思信さまは、どうしてそんなに平気で居られるんですか?…」

 

思わずそんな言葉が口を衝いて出てしまうほど、燕城寺の心は葛藤している…。 

「…あたしだってどきどきだよ…」 

そう云いながら思信は、燕城寺の手を取って自分の胸に手を当てさせ、その鼓動を伝えた。膨らみの少ない思信の胸からの鼓動は、よりダイレクトに燕城寺の手先に感じられた…。 

「…ほんとだ…」

「…ふふ…あたしもみんなと同じで怖いのよ…」

「…でも冷静で落ち着いてるみたいですけど…」

「…桃子にも、みんなにもそんなじたばたしてるあたしを見せたくないの…それは桃子も同じはずだと思うから…単なる見栄っ張りかな?…でもね、それが極限下でクルーを安心させることが出来るのなら、リーダーを演じるあたしは、嘘でも冷静を装う意味があると思うの…」

 

云って燕城寺に、にっこり微笑む思信だった…そしてスロットルを握っていた燕城寺の左手に、思信は自らそっと右手を置いた…。 

「…思信さま…」

「…まーやは、ラダーペダルの操作に専念して…スロットル操作は私がするから…」

「…はい…」

思信は燕城寺に代えて自らスロットルレバーを握った。燕城寺の緊張感から考えれば、思信も操作を分担した方が良いと考えたのだ。機体を水平のまま、機首を回頭させるのは、一般的に垂直尾翼の方向舵を操作するラダーペダルの操作だけだが、これに左右主翼エンジンの推力差を用いれば、動きをさらに加速させることが出来るはずだった…。 

「…じゃぁミッション・カウント開始…T-30秒から開始…」

 

思信のカウントは、他のクルーの耳元にも届く…。 

「…無人機のモノアイに照準…」

「…何時でも準備よし!!…」

 

麒麟と隼砥は、互いに上と下の無人機の視覚センサーに向けて、レーザービーム照射の準備を既に整えていた。レーザージャマーのターレットに具備されている画像センサーからの映像は、彼女たちが右目に掲げたHMDのアイピースにしっかりと投影されていた。無人機のカメラは、こちらをサンドイッチする上での相対距離を測る重要な役割を担っている。それを潰されてしまえば、一瞬でも隙が生じることになる…。 

「…武器投下ランチャーに物量カプセル装てん完了済み…何時でもどうぞ…」

 

桃子に向かって武器係の佃島が連絡する。この投下のタイミングは、どうにもFCSには組み込まれているプリ・プログラムではないから、コンピューター制御と言うわけにはいかないので、それらは全てマニュアルでタイミングを測かることになる…。 

「…カウント・マイナス10、9、8、7、6、5、4、3、2、1…start!!…」

「…レーザー・ビーム・ショット!!…」 

カウントがゼロになったところで、無人機の視覚センサーに向けて一目散にレーザーが照射され、視覚センサーを眩ませたが、それでも無人機の安定した飛行状態は変わらない。無人機の機体には、姿勢を維持させるだけの精密な慣性航法装置が備わっている。レーザーショットでモノアイの目が眩んだところで外界の景色が判らなくなるだけだ。それが狙いでもある…。 

「…左旋回!!…」

「…らじゃ!!…」 

思信の号令に燕城寺は思い切り左のラダーフットペダルを踏み込み、思信はさらに推力差を発生させるために、左スロットルを引いて左エンジンのスラストを絞り込み、逆に右スロットルを押し込んで右エンジンの推力を開放した…P-21Aの機体が回頭をはじめた途端、互いの距離が開き始める…スクリーンに映し出される無人機は、レーザーショットの効果で目潰しされたので、現在の飛行状態を維持するだけで精一杯だった。P-21Aが針路変更したお陰である…。 

「…物量カプセル投下、投下!!…」

「…しゅぽん、しゅぽん、しゅぽん!!…」

 

桃子の号令一過、後部キャビンの武器投下ランチャーから空箱の物量カプセル・コンテナが圧縮空気で打ち出される。 

「…当たった、当たった!、ヒットヒットヒット!!…」

 

連続して3発投下したが、P-21Aが左旋回を開始したことで、QR-21から遠ざかるので、中々当てにくくなるが、ようやく3発目がQR-21に当たった。1・2発目は距離が無かったのでパラシュートが開かずそのまま素通りと言う感じだったが、3発目でようやく減速用のパラシュートが開き、カプセルがQR-21に激突し、無人機にパラシュートが纏わりついた。ふらふらと姿勢を崩すQR-21。程なく姿勢を維持できず、錐もみ状態になる。パラシュートがジェットエンジンの中に吸い込まれ、エンジンが停止したのだ…その瞬間、スクリーンの映像の中で、QR-21の機体が弾けたような気がした…ミサイル迎撃用に装備している指向性散弾”メタルストーム”を発射したのだ…途端に、 

「…がくがくがくがくん!!…」

「…キャァ!!…」

 

フレームを軋ませるような衝撃と振動が機体全体を包む。クルー一同は、予期していたとは言え、一様に動揺した…コックピットのコンソール・スクリーンは、自動的にP-21Aのステータス表示モードに切り替わっていたが、機体の3DCGの表示に損傷部位が赤く明滅を繰り返していた…。 

「…左水平尾翼、垂直尾翼破損!!…後部動翼系統損傷…」 

燕城寺が告げると思信は表情を曇らせた。上下から無人機にサンドイッチされた中で、”バルゴ06”が反撃する術は、DIRCM(光波妨害装置)を相手の光学センサー目掛けて連続照射して目晦ましを掛けた瞬間に、一瞬だけ相手との相対自己位置を見失ったQF/V-45Rは、その飛行姿勢を保ち続けようとしたが、思信たちが操るP-21A左方向に針路のスライド修正を掛け、さらに左右のスラスト差から大きく右に持ち上がったP-21Aの機体の垂直尾翼と接触してしまい、P-21Aから垂直尾翼上部をもぎ取った。そして機体下部にコバンザメしていたQR-21には、レーザーの眼晦ましと物量傘が絡むことに成功したが、錐もみ状態になった無人機は、最後の足掻きではないが、装備していた指向性散弾をP-21Aに放ち、機体後部に著しく傷つけるとともに、錐もみ状態のQR-21は左に大きく沈んだP-21Aの左水平尾翼に接触し、その部分を失ってしまったのだ。 

「…がたがたがた…」 

振動は先程より幾分和らいだが、手負いの機体の挙動はまだ不安定だった。それでもP-21Aの飛行制御コンピューターは、この緊急事態を内部に装備されたスマートスキンと呼ばれる自己診断回路網とFBLと呼ばれる光信号制御装置を駆使して、損傷部位を現在のリソースで自動的にリカバリーしてみせ、飛行姿勢の保持に尽力することになる…スマートスキンとは、機体全体に自己診断機能を持たせた初歩的な知能(インテリジェント)化装置だ。この自己診断回路網…光神経複合センサー…には、データ伝送路とセンサーの役割を同時に担う光回路を使用するが、これらは既存のフライバイライト(FBL)を基幹にし、枝分かれするようにネットワークを構築している。主翼やキャビンに掛かる構造圧力や温度などの変化を中心に測定する。攻撃を受けた損傷部位からは、光ファイバーネット内を流れるレーザー光が漏れ、これらのセンサーデータが損傷診断に使われ、フライトコントロールにも反映され、機体の損傷レベルに合わせてコンピューターが自動的に飛行制御をサポートしてくれる。それでも補正されきれない機体の慣れぬバランスの悪さが今の不安定な挙動の原因だった。 

「…コクピットは機体の安定に注力…各自、緊急脱出準備!!…武器係はレスキューコンテナの緊急射出!!…」

「…機体を捨てちゃうの?…」

「…まだわかんないわよ!!…いざって時のオプション!!…」 

桃子の号令に思信は思わず聞き返していた。その直後に機内は一様に無言になった。そしてコクピットでステアリングハンドルを握っていた思信は、あろうことか手首に備わっていたリストパッド・スクリーンにメール作成画面を呼び出してメールを打ち始めた…緊急時の機内の会話…主にコックピット内だが…は、室内のマイクロフォンで尽くボイスレコーダーに記録されてしまうので、わざわざコムツールで会話メールをする羽目になっている。 

「…しゅぽん、しゅぽん、しゅぽん!!…」 

そんな子気味よい音が3連発して…救命ラフトを収容したカプセルカートリッジは、ソノブイランチャーから射出された後、パラシュートで減速しながら、海面に軟着水する。救命ラフトを収容したカプセルは、海面に着水したと同時に、エアバックの要領で膨張し、海面上に浮かぶことになる。ラフトの定員は最大で5名だが、最低限の電力を得るために、ボディ全体には色素感応型のシート状太陽電池が上皮にコーティングされ、その電力は蓄電池に蓄積されるとともに、位置発信器及び、通信機に使われることになる。思信は唇に人差し指を当てて、秘匿会話とする合図をすると、燕城寺も肯いてそれに同意する。そして副操縦士の燕城寺にリストパッドモニターを見せて、自分が言わんとしていることを伝えた…。 

 “…主翼とエンジンは2つとも無傷だから…基地には何とか帰れるわよね?…”

「…コクリ…」 

燕城寺はコンソール・スクリーンのステータス表示で油圧の表示が若干低下したのを気にしながらも、思信の問いに肯いていた…外見は旧来の旅客機と見分けがつかないほど垢抜けないP-21A哨戒機だが、現代のコンピューター制御の航空機の残存性は、かつての航空機に比べれば、軍用機並みのタフネスさを兼ね備えるに至っているのだ。垂直と水平尾翼が傷ついたとは言え、この程度の損傷は油圧が生きているので、このままフライトし続けることは可能だし、タイヤがうまく出れば、着陸することも可能かもしれないのだった。 

“…1、このまま全員で基地に帰投…”

“…2、機体を安全な海上で投棄…”

“…3、一部クルーを脱出させて、パイロットのみで基地に帰投もしくは、機体の投棄…”

“…4、無理せずに適当な海上で、みんなで脱出…” 

という4つの選択肢を提示した思信…それらは即座にクルーの各々のコムツールの画面に示される。こんな時に民主主義の実践というのもどうかと思ったが…多数決が出来る余裕はあった。 

“…こんなことしていいの?…” 

そう桃子は躊躇ったが、最終的には彼女も4番に投票した…そしてこのアンケートの集計結果は…全員4番だった…

 

※ ※

 

先ほどの救命ラフト投下位置まで戻るP-21A…飛行高度もパラシュート開傘に必要な高度600m以上と速度200ktをキープするように自動操縦装置に入力した…クルーのミッション・リーダーである桃子のコンソールのスクリーン上には、 

[self-distraction mode]

(自爆モード) 

のタスクが呼び出されていた。自爆と言っても、正確には各種記録メディアの破壊消去という方がニュアンス的には近いだろう。敵軍に自機のデータを渡さないために、コンピューターなどのデータ一切合切を消去、電子機器を焼き切る。自らこれを執行するのだ…そんな羽目になろうとは…みんなは既に脱出する気満々なのか、ヘルメットにパラシュート、酸素マスクに、諸々のサバイバルキットというフル装備だった。そんな中でパラシュートを背負い、ゴーグルをして、トレードマークにシニヨンに編み込まれたヘアーを汗取りスキンを被せてヘルメットの中に収めた。ヘルメットの後頭部に、ケミカルライトを取り付ける。みんな緊急時は戦闘機パイロットと似たような出で立ちになるので、個体識別のために色分けされていた。ちなみに桃子は黄緑色だ… 

「…crick!…」 

自爆モードをクリックした桃子。その最中にもコックピットの思信たちが、自動操縦装置に機体を水没させる飛行コースを再設定していた…。 

「…みんな用意は出来た?…」

「…はーい!!…」 

隼砥が率先して手を上げた。その返事は何だかハイキングにでも行くかのような軽いノリだったが、果たしてこのような傷ついたケージから一刻も早く脱出できるのならば、自由になれるのなら浮き足立つのも判る気がした…。 

「…いーい?、脱出は左後部ドアから脱出すること…左の水平尾翼が無いから、その分、尾翼と衝突の危険性が少ないわ…パラシュートは自動開傘に設定して。無理しない方が良いわ…先に投下した救命ラフトは3つ。もう海上で開いているはずだから、その位置は各自、リストパッドスクリーンで確認して、最寄のラフトに辿り着くようにして…それから水上に着水する時は、高度10m前後でパラシュートを切り離すように…」 

思信が言った… 

「…後は桃子から付け加えることはある?…」 

そう思信に振られた桃子だったが、注意事項は言い尽くされていたので、特に思いつかなかった…。 

「…みんな無事に帰って…」

「…エッチしようね?…」

「…はーい…」 

そして9名のクルーは後部キャビンに移動した。全員マスクを被り、夜間用の暗視ゴーグルを填める。佃島の手で後部キャビンが緊急ハンドルで開放されると、気圧差を伴った空気の傍流がキャビンに流れ込む…酸素マスク無しでは過ごせない。 

「…ぽんぽん…」 

肩を叩き合って互いを確認する…勢いを付けて倒れ込むように飛び出した…最初のうちは、空中でくるくると錐揉みになっていたが、気流に身を任せるように腹ばいになる。四肢を風に乗るように関節から天を仰がせた…高度3000mからP-21Aの機外に脱出して、天を泳ぐように満天の星空から舞い降りた流星群…ただ星屑とかの感傷に浸っている余裕は無かった…高度600mで自動的にラムエアパラシュートが開いて、その瞬間の引き上げられるようなGの衝撃に、全身が骨身まで軋みそうになったが、そこで初めて空中を漂いながら、海上に漂うラフトや、満天の空を見上げたりと言った周囲の景色に目を凝らす余裕が出来た…。そして十分に救命ラフトに近づいたところで、空中10mほどでパラシュートと身体を接続しているバックルを外した。こうすることで、海上に着水した時にパラシュートが上から覆い被さり、窒息・溺死することを防ぐのである。空中から海上に身を投げ出したその瞬間、海中に数mほどダイブする羽目になってしまった。

 

※ ※

 

海面を漂う救命ラフト(筏)の中…バルゴ06から吐き出された全部で9名の女性クルー…自分たちの行く末はどうなるのだろう?…波間に漂いながら別にそういう不安は余り感じなかった。クルーがみんな脱出出来たことは、GPS付きの救難信号発振装置からお互いのロケーションは確認できていたからだ。さすがに相手とは、話せていなかったが…そんな9名は、時間差で脱出していたのだが、その中でも諏訪部麒麟2等海尉と吉岡柴2等海曹は、早めに脱出したペアだった。麒麟はリストパッドモニターに周辺のグリッド表示を呼び出す…自分を中心にした10㎞の圏内に2つのブリップが見られた…。 

「…先輩…あの…ここでしたいことがあるんですけど…」 

吉岡柴が呟いた…緊張の連続の時間から解き放たれた安堵感と、この大自然の大海原に、最愛の女性と2人きりになれたという別な意味での緊張感が発生していた…。 

「…あー。トイレならその縁から好きなだけしなさい。遠慮することはないわ…あたしたちは今、地球最大の水洗トイレの真っ只中に居るんだから…縁から海に落ちないようにしてよ…助け上げるのは得意じゃないから…」

「…え?…あ…はい…」 

自分が言いたいことを麒麟に一方的に決め付けられてしまった柴。それに反駁することの出来ない自分も情けなかった。海面に着水して救命ラフトに辿り着くまでに、結構な距離を泳いだと思う…そこからラフトによじ登るのも、結構な疲労になった。それでも救命ラフトに乗り込めたことで、一定期間の生命維持と救助の可能性は保障されたのだ。生存への危機感が薄れると、どうしても様々な欲望が湧き出してくる…それも疲労感もどこかに行ってしまう…。海水でずぶ濡れになったフライトスーツも、今では撥水効果のお陰で、水分の有様も気にならない。 

「…ぺろん(←ズボンを脱いでお尻を出す擬音)…ちゃー(←柴のおしっこの音)…ちょぼちょぼ(←水面に毀れる音)…」 

それで仕方なく、大して尿意も催していたわけでもなかったのだが、ラフトの縁からお尻だけを半分、海面に突き出して、おしっこをした…これが日中なら、これだけで灼熱の太陽にじりじりと、皮膚を焼かれてしまうことだろう…これが大きい方なら、それを巻きエサにして魚が釣れるかなと思ったりした…それからしばらく時間が経過した…。 

「…柴…おしっこして、ちゃんとお尻を拭いたの?…」

「…あの…トイレット・ペーパーが無くて…」

「…何だったら、あたしが嘗めて上げてもいいわよ…」

「…え?…」 

麒麟の一言に思わずドキリとしてしまう柴。随分とはしたない爆弾発言をするものだと思ったのである。これが次の台詞の呼び水になったのは、柴の中で一つの箍が外れた…。 

「…先輩…あたしずっとずっと気兼ねして、云えなかったんですけど、今日はその願いを適えて欲しいんです…」

「…なぁに?…改まって…」

「…あたしに先輩との赤ちゃんを産ませてください…」 

吉岡柴は、麒麟に対してはっきりと言い切った…きっぱりと、自分の募る思いを打ち明けたのだ…今まで大切にお守りにしてきた2人の絆に生命の息吹を吹き込むのである。子宮の中で愛の結晶に孵すのである…。 

「…さっき内藤さんも、思信さまも…帰還したら、みんなで赤ちゃん…」 

そんな先ほどの機内でのやり取りを言う吉岡柴の唇に手を当てて次の言葉を遮る麒麟… 

「…柴…愛してる?…」

「…先輩のこと…世界で一番、愛してます…」

「…じゃぁ、あなたの望むようにしてあげる…」

云うと、2人の唇は、自然と触れ合い。吉岡柴の瞳には、涙の雫が自然と膨らんでいた…サイリウム・ライトという蛍の酵素の化学反応を使った蛍光化学ライトの明かりの下、フライトスーツのズボンを脱ぎ捨て、下半身を露出させる吉岡柴。黄緑色のぼんやりした蛍光の照度は、ライトの揺すり具合で明るくなるが、持続時間は短くなっていく。このぼんやりとした色彩の上に、互いのシルエットが浮かぶのがちょうど良い色だ。それにあわせて麒麟も、フライトジャケットのサバイバル・グッズの中から、ナイフの代わりに忍ばせていた異物を取り出す。それは男性器の代わりになるものだが、生殖バイブとしての機能を持ち合わせた拳銃のようなものだった。受胎カプセルを装てんして、ほぼ百発百中で妊娠させるのだ(←女性に対して、ある意味、凶器である…)。吉岡柴は認識票とは別に、首からぶら下げていた小さなロケットのペンダントを麒麟に渡した。その中に吉岡柴と麒麟の卵子を掛け合わせたコンボエッグを使った受胎カプセルが入っていた。これは2人の愛の証であり、絆であるとともに、お守りの意味もあった。それを生殖バイブ…ことラブピストルに装てんする麒麟。 

「…柴、仰向けになって…」

「…先輩…」 

麒麟に云われた柴は、仰向けに横たわる。強化ゴムの船底から、膨大な水の存在が波の感触として伝わる。まさに妊娠するには、絶好のシチュエーションだと思う。何より思い出に残る神聖な情景に思えた。麒麟は柴に自身の両脚を、M字に抱えさせ、開脚させた(←筆者は取り分け好きですね。このポジション…)。股間に秘められた柴の姫百合が、麒麟の眼前に露呈する。それでも彼女の小ぶりな桃弾の中にあって、その花びらが綻ぶか綻ばないかという開花寸前の情景は、ケミカルライトのぼんやりした色彩を帯びることで、一層の艶やかさを増しているのだった…。 

「…くにくに…」

「…あ、あん…」 

麒麟は指先で柴の会陰部を丁寧に解した。ともすれば綴じられてしまう姫百合を縁取る陰唇の花びら。それに適度に刺激を咥えることで、肥厚させてそのままでも自然な状態で居られる開花を促しているのだった。 

「…あなたとの誓約のキスは、ここにしてあげるわ…」

「…あん、せんぱい…」 

神殿でも、神社でも、教会でも、モスクでもどこの神様でもいいけれど、こういうのって…口と口を重ねるものではないかと吉岡柴は思った…麒麟とは散々、上下の唇で接吻はしてきたけれど、そういうのって大事にしたいのだ…まぁケジメだと思うのだけれど…でも新婚初夜を婚姻前に婚前交渉としてやってしまうのであれば、こんな満天の星空の下、2人きりの大海原でなんて、最高のシチュエーションだと思う…今は気持ちよく妊娠できればそれで好い…そう思った。 

「…くりくり…くにくに…」

「…あ…う…せんぱい…」 

麒麟の仕草をじっと見つめる柴。彼女の股座へ詣でた麒麟の右手…柴の姫百合の溝を指で撫でさするしなやかな指先。肉門を司る花びらを入念に揉み解したが、そこからの粘着質で水音のノイズが卑猥な色彩を帯びることになった…。

「…やん…せんぱい…」

「…ふふ…どしたの?…」

「…だ・い・す・き…」 

官能の歓びなのだが、それを素直に表情に出して好いものかどうか…だからはにかむ様な照れ笑いを浮かべる…それでもまだ表情を作る余裕があるのだ。それも快感に突き上げられるにつれてそんな余裕など無くなってくる…。 

「…こちょくちゅ…」

「…あんん!!…」 

吉岡柴を快楽の極値に突き上げようと、麒麟の指使いが徐々に激しくなる…吉岡柴が今まで一通り体験してきた性経験…と言ってもこのクルー一同も同じだ…は、女性の手になる指か、バイブか、ローターを異物として姫百合に受け入れてきたくらいで、生身の男性器に関しては、未踏の領域なのだ。かと言って千差万別の個人差がある生身をあてにするより、ニーズに合わせて作られた工業規格品の方が品質や性質は折り紙付であるといえる。性感に関して言えば、最愛の女性である諏訪部麒麟などにも関わってもらってきたことで、人並み以上に開発されてきた。女体の悦びを吉岡柴の身体は十分身に着けているのである。あと未経験なのは、母親になるということだが、吉岡柴は生身の男性を知らないまま、生殖バイブを受け入れることで妊娠できる。これを持ってして”処女懐胎”というのなら、バルゴ06のクルー一同はみんな同じだ。というより性生活において生身の男性を排除するようにしてきたのは事実だが、それに対して惑いはない。今まで出会ってきた信頼すべき人が同性だっただけで、異性との巡り会いは必要ないだけだ。 

「…ちゅっちゅ…レロレロ…ぢゅるぢゅる…」

「…あ、んn…はぁッツ!!…」 

そのうち麒麟も指だけでは飽き足らず、吉岡柴の姫百合からのラブジュースを吸引し、後ろの菊輪の部分に直接吸い付くようになる。静かに綻んだ吉岡柴の花びらに、執拗に舌戯を施す麒麟…。 

「…よいしょっと…」 

云いながら麒麟は、吉岡柴の下半身を大きく引き寄せ、捲り上げるようすると、そのお尻の下に自身の身体を添えることで、愛する吉岡柴にも、自分の姫百合の状況が一体どうなっているのか、視覚的にも確認できる。これが屈曲位の齎す醍醐味の一つでもある。しかし屈曲位は、その名の通り窮屈な姿勢だ。身体の内部では、重力に引かれるようにして、内臓が上半身の方に下がってしまう。つまりビーナスホールの中の子宮も、より深く穿たなければ、内部のホットスポットを直に抉れないことになる。けれど吉岡柴のホール自体は、その小柄な体格と同じように、深度は比較的浅いので、深く穿ちすぎて、彼女の内部を傷つけるような危険性は少ない…。 

「…挿入れるわよ…」

「…ん、ん…先輩…」 

麒麟は吉岡柴の姫百合に突き立てたラブピストルをぐいっと捻り込んだ…子宮系の筋肉の収縮を蹴散らすように、生殖バイブの切っ先は、彼女の子宮口をノックしていた…同時に後ろの菊輪を指先で解き解す。 

「…にちゅにちゅ、ぎゅっぎゅ…くちゅくちゅ…」

「…あくぁぅうう!!…」

「…ぶびゅる!!…」

「…せ・ん・ぱ・い!!…あぅ!!…いぅ!!…ほしが…おちてくる!!…」 

吉岡柴は麒麟に両肩をフォールさせられた屈曲位のまま、彼女は絶頂を迎えていた…両脚は虚空に大地を求めるように激しく痙攣していた。オーガズムを感じた吉岡柴の頭の中は、酸欠状態のように真っ白になっていたが、救命ラフトの天井の覆いを無意識に蹴っ飛ばしていたため、満天の星空が目に焼きついて離れなかった…人生最高の絶頂は、最も愛しい女に抱かれながら、海の上で満面の天の川の星空の下で迎えることが出来たのだ。日本では見えない星座の光景…アラビアン・ナイトの星図だ。吉岡柴はオーガズムの瞬間、両脚を大きく上空目掛けて天空を仰いだが、彼女の瞼にはその星々が崩れ落ち、天から幾多の流れ星となって、弾丸のように自分の子宮目掛けて降り注ぐような光景が目に焼きついた…これはこれで神聖な受胎のイメージだ…そんな意識が朦朧としてからの回復にどれくらいの時間が経過したのだろう?…。それはほんの数分の出来事だったのだが…そこには心配そうな目線を投げかけてくれる麒麟がいた。自分が蹴飛ばした天井の覆いも元に戻されていた…。 

「…柴…いっちゃったの?…」

「…コクリ…」

「…柴のいく瞬間、とっても素敵だったわよ…」

「…コクリ…」 

優しく甘いキスを繰り返して、吉岡柴の傍らに添い寝する麒麟。彼女の問い掛けに、吉岡柴は無言で肯いた…それが精一杯だ。その瞬間を言葉でなんて言い表せない。勿体無いよ…。 

「…せんぱい…お腹が…さっきからジンジンして熱っぽいんです…」

「…それはあなたが子宮で受精できた証拠よ…柴はこれからママになるのよ…」 

吉岡柴は麒麟に、自分の下腹部の中で起きている小さな変化を訴えた。それは吉岡柴の小さな幼い子宮は、そのラブピストルからの一撃で熱い火照りを湛えて、その温度は何時までも下がらなかったのである。吉岡柴が言うのも妊娠初期段階で得た彼女自身の体性の感覚である。麒麟との女同士の性愛の高みの果てが齎したもの…子宮入魂…2人の卵子由来のコンボエッグを核とする受胎カプセルを装てんした生殖バイブは、吉岡柴の姫百合を膣道の最奥の子宮口まで貫くと、彼女のオーガズムに戦慄する子宮系の波動とシンクロさせて、受胎カプセルと受精液を彼女の子宮口に放精する。その体験を通して、エクスタシーに酸欠状態の脳内で、おぼろげながらに吉岡柴は、妊娠の実感を得ていた。受精液は受胎カプセルを栄養素であると同時に、保護膜…羊膜のようなものだ。その羊膜は、女性のおまん孔(まんほーる)に突き刺さった生殖バイブから、子宮目掛けて放たれ、子宮全体を満たし、後は子宮内から逆流しないようにゲル状に変わる。そして受精液は受胎カプセルをゲルと粘膜と肉で包み込むことになる。受精液は、女性を母親へと一段変化させる”…母性ホルモン効果…”…胎盤形成を促したり、乳腺を刺激して房の実りを豊かに確実に膨らませ、乳汁の出を良くしたり、脳神経の構造を慈愛に象徴される母性の感情を呼び覚まさせるなど…を持っているものだ(←もちろん個人差は大いにあると思いますがね…どの程度、実現性のあるものなのかは判然としない。ただ受精卵を子宮に戻すだけの現行の人工授精に関しては、着床率の個人差があまりにも大きいので、成功率は50%以下という数字だと思った…これは技術的に改善せねばならない数字だと思われる…これを少子化対策というには焼け石に水かもしれないけれど…)。 

「…ちゅちゅ…」

「…くちゅくちゅ…」 

麒麟は縁に首を持たせかけ、涅槃の姿勢で、上半身を肌蹴て、吉岡柴の傍らに寄り添い寝していた。それに吉岡柴は、麒麟の露になった柔らかい房に吸い付きながら、彼女の右手は麒麟の股座に忍び込んでいたのだ…麒麟の姫百合の部分には、ビーナスの門に当たる部分に秘密の証が括り付けられていた…これは吉岡柴との間に立てられた誓いのものではない。その誓いのピアスが貫いている包皮をむいて、弾力のあるクリトリスに直接触れると、彼女はひっそりと抑制した声で喘いだ…。 

「…はぁ~~~…」 

吉岡柴の手になる麒麟の切ない溜息…先輩を自ら導いているという実感はないが、麒麟の姫百合を少しじらすように、人差し指と薬指を、割れ目を縁取る花弁に置き、中指をその割れ目にそって指をぴったりとくっつけたまま、動かそうとしなかったが、陰核から膣口へ指を移動させた。そして麒麟はもどかしそうに腰をくねらせ、言葉ではなく態度で吉岡柴に懇願した…。 

「…んッ!!…」 

そして吉岡柴は、麒麟の秘処の門にそっと指を潜らせた…そうして攻守の立場が入れ替わった…。 

「…ぺろり…」 

吉岡柴は花壺に挿入れやすいようにできている楕円形のミニローターを口に含んで、舌先で唾液の滑りを付着させる…そのまま麒麟の姫百合に潜り込ませた…。 

「…はぁぁh…」 

こうして麒麟もまた、性の導き手によって、母親への第一歩を踏み出したのだった…。

 

※ ※

 

西の空に宵の星空が、東の空に日の出が同居する夜明け間際の空は、格段に色彩の豊富になる時間帯だ…そんな北西の方向にふと目を向ける麒麟…その空中にシルエットを見つけたのだ。自分の胸元を見つめる。肌蹴た褐色の胸元から毀れた乳房を吉岡柴に含ませながら、首に下げた認識票とともに、ロケット・ペンダントの中身は、もう既に無い。今は下腹部の深奥の中にある。それは自分と吉岡柴の卵子を掛け合わせた受胎カプセルだったが、自分も柴と同じように、ラブピストルを膣内に受け入れ、カプセルを子宮で受け止めていた…未だまどろみの中にある吉岡柴を目覚めさせるべきか?…麒麟はそっと胸元から吉岡柴の頭を離した…すると頭から柔らかい乳房の感触が消えて、吉岡柴は目覚めることになった…。 

「…んん…先輩?…」

「…目が覚めた?…そろそろ迎えが着たみたいよ…」

「…え?…」 

うすらぼんやりとした眼をその方向に向ける吉岡柴…H-60系の機体に機首に給油プローブやセンサーポッドをこれ見よがしに装着した厳ついヘリコプターだった。青と紺の波模様に彩られた機体ペイントにミートボールのような日の丸が生えるHH-60Mマッシブホーク。海上自衛軍のペルシア湾派遣艦隊旗艦DDH-146ゆうひから、P-21A”バルゴ06”の捜索のために戦闘捜索救難(CSAR)飛行に飛び立った機体である。 

「…あん…まだ…」

「…だぁめ…」

「…でもぉ…」

「…続きは戻ってからね…」 

云うと麒麟は、あきらめの悪い吉岡柴の唇に、そっと人差し指を押し当てた…それから救命筏の天蓋を外して、麒麟と吉岡柴は上空を旋回するHH-60Mに向かって2人仲良く精一杯手を伸ばして、精一杯の笑顔を振りまいた…そして上空に滞空したHH-60Mからホイストが降ろされて…それに吉岡柴を先に括り付けてHH-60Mに揚収させ、麒麟はその次に続いた。キャビンの中では、先に待ち受けていた吉岡柴が、麒麟に堪えきれず抱き付くと、流石に口付けは止したが…ヘリが母艦であるDDH-146ゆうひまでの帰投の始終中、手を取り合って身体を寄り添わせていた。ヘリが護衛空母に辿り着いて着艦し、麒麟と吉岡柴が2人して手を取り合いながらヘリからデッキに降り立つと、 

「…キーちゃん!!…」

「…吉岡2曹!…」 

云って思信と桃子が2人目掛けて一目散に駆け寄って来た。この2人を含めて麒麟と吉岡柴以外の7人は先に救出されてゆうひに居た。麒麟と吉岡柴は最後に救出されたペアだったのだ…そしてみんなの間で、交わされた人目を憚らない熱烈なキスの交歓。これがバルゴ06の真骨頂…クルーたちの恋人のような一体感だ。 

「…キーちゃんも、柴ちゃんも、ちゃんとした?…」

「…うん…」 

思信の問いに肯く麒麟。それに頬を紅潮させる吉岡柴…そしてみんなは、その頬に海風と優しい陽光を受けながら、もう一度、存在確認のハグと歓喜のキスの交歓をした…。

 

※ ※

 

…これはP-21A”バルゴ06”のクルー9名全員の秘密の合言葉になった…後日の確認事項…みんなは各自、トイレでおしっこを妊娠検査キットに目掛けて一斉に注いだ…色は見事に変化した。ホルモン変化は見事にその妊娠検査キットで抽出されたわけである…。 

「…出来てた?…」

「…うん…」

「…おめでとう…」

「…ありがとう…」 

これでバルゴ06のクルー一同は、晴れて産児対象となり、異国の前線から一旦、帰国の途に着くことになる…。

 

      

 

この手の展開は、この諏訪部麒麟・吉岡柴ペアの救命筏だけでなく、他の2つのペアの間でも、似たような行為が営まれていたのだった…数週間後の基地での健康診断で…それぞれが肉体的に母親になったことが検査で明らかになった…そして数ヵ月後のクルー9名の集合スナップ写真…その中でみんなは、個人差はあっても下腹部がふっくらとしていたマタニティ・ウェディング姿である。そして一年後…彼女たちの腕には、思い思いのベビーウェアに身を包んだ赤ん坊たちを、一様に胸と腕の間に抱いていた…そして娘たちが一様にムズがり出すと、上着をはだけて胸を露出させ、授乳をさせた。そこに羞恥の心より優先すべきことが娘たちの空腹を満たすことにあったのだった…。

 

※ ※

 

思信も桃子との娘・慧夢を妊娠して以降、母性ホルモン(?)のお陰で、みんなと同じく乳腺からようやくミルクが出るようになったのだが、かと言ってそれが彼女の薄いトリプルAのカップサイズを底上げしてくれることは無かった…だから娘に母乳を与えようにも、授乳中は常に自分の乳首の位置に娘の頭をキープせざるを得ないため、胸が大きいクルーメンバー…麒麟や燕城寺…が、妊娠の影響で胸のサイズがより大きくなったため、肩凝りに悩まされるのと同じように肩にプラスして腕の筋肉が凝るのは代わらないのだった。 

「…ほら、慧夢をこっちに貸してみて…あたしのおっぱいは2つあるから…」 

そう云う桃子は、既に右胸で娘の怜夢に乳を与えている…それに加えて思信の娘・慧夢にも授乳しようというのである。桃子は別に授乳に苦労している思信を見かねたものだったが、思信にしてみれば、娘の横取り行為に他ならないのだ。慧夢は怜夢と同じように桃子と思信の娘だが、思信自身が産んだのだ。そんな手放したくない…確かに自分の胸のサイズは薄い…けれどその乳腺が醸し出すミルクの成分及び量に関しては、十分に娘・慧夢の需要を満たすことが可能だ…。 

「…それは私も同じだよ…」

「…そんな悲しそうな顔しないの…大丈夫。この娘たちには、あたしたちがみんなでおっぱいをあげるからさ…約束したでしょ?…ちゃんとみんなで分け隔てなく一緒に育てるの。だから赤ちゃんのうちは、みんなのおっぱいを一緒に呑ませてあげるのよ…」

「…それは判るけど…今、あたしのおっぱいはどうなるの?…」

「…思信のおっぱいは、あたしたちみんなで、ちゃーんと吸って飲んであげるからね…」 

宥めるように言う桃子だが、ちっとも思信の耳には、慰めの台詞とはなっていない…。 

:「…あたしは、誰のおっぱいを飲めばいいの?…」

「…それはみんなのおっぱいに決まってるでしょ?…」 

そういうと、両方の乳房で授乳中の桃子以外のみんなは、空いている方の乳房のボリュームを、その手でアンダーからそっとすくいあげてみせる…みんなのニップルの瞳の中には、自ずと白い感涙の滴が滲み出していた…。 

「…あたしたちみんなで、ミルクの飲み比べしましょう?…」

「…みんな…」

「…誰のおっぱいが美味しいかしら…」 

女壺全体の衝動を宥めすかすように、生殖バイブはその蠢動運動の肉のウェーブに乗るように内奥へと突き進む…。その肉波を宥めるでもなく、子宮系の引き攣りの限界だった…。 

「…あたしだってちゃんと出るもん!!…」 

些か抗議地味て呟く思信だが、実際に彼女の厚みの無い、乳頭だけが硬く発達した乳房は、指先で軽く摘むと、思信の乳頭起源の白い軌跡が幾筋も、ぴゅぴゅっと空中に迸っていた。 

「…あ、勿体無い…」

「…エッチな吸い方と触り方をされないと、思信のおっぱいを大きくする女性ホルモンが分泌されないもんね…」

「…そんなんで大きくなるんなら、苦労はしないわ…ってんんっ!!…」 

思信が啖呵を云い終わる端から、燕城寺と麒麟が思信の胸元に顔を寄せて、乳頭に吸い付いてきた…思わず鼻を突く艶声と、胸の先からじんわりと背筋と子宮の内奥に伝わる快感。

乳房の涙…ミルク…思信の乳腺から乳頭に向けて発射されるミルクは、バルゴ06のクルーの中で胸のボリュームが一番薄い思信本人には、”…悔し涙…”なのかもしれないが、今、それを美味しく頂いている諏訪部麒麟と燕城寺摩弥には、”…歓喜の涙…”に感じられていた…。

 

(おわり?…)

 


※これらは全てフィクションでございます。が幾つかのバックボーンに関して.
 
単為生殖技術に関して…2004年10月、2匹のメスのマウスの卵子を掛け合わせて娘が生まれている。その娘はクローンではない。両親の形質を引き継いだ別な遺伝的に別な個体。その子供には生殖能力が確認されている。

受胎カプセルに関して…壊れ易い受精卵の構造強化を狙ったもの。人工子宮の開発の過程で生まれたと言う想定だが、現実の人工子宮開発は現在の不妊治療のことを考えると、もっと加速して進められるべきだと思うし、これからの超少子高齢化社会では、自然繁殖に拠らない完全な人工繁殖技術の核として、人工子宮の開発が進められる可能性もある。子供を作る気の無い若い世代が増えているなら、その責任を国が代わって担う必要が出てくるだろう。日本の民族集団存亡の危機ならば、それを実行するのも止むを得なくなるのではないだろうか。これぞ究極の理想的な社会主義社会だが…技術的なバックボーンが無ければ絵空事である。この時代で想定している人工子宮は、再生医療で臓器栽培に使われる遺伝子操作したクローンブタの子宮である。

この時代のイラクには、日本を含む中国を筆頭にした東洋諸国が核廃棄物処理施設を提供。これに反発した米国が施設占拠を企む。イランの核の矛と、イラクに作られた核廃棄物処理施設という核の楯によるイスラムの核枢軸同盟が出来つつあったという政治的な筋書きがある。中国を筆頭にした東洋諸国と米国を筆頭にした西側諸国による新時代の東西冷戦が、世界各地で展開されているのが国際政治のトレンド。
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  1. 2007/01/01(月) 12:03:04|
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